7.激突の攻防
2009年になって動きが慌ただしくなった。前回添付した「Pe社に対する東京アートの最終的な考え方」の資料を参照すれば、三木氏のPe社への異常と言えるほどの傾倒ぶりがわかるであろう(資料1)。東京アートの顧問法律事務所の平田先生へ送った文書である。読めばはっきりと意図がわかる。優先順位1に「経営権譲渡」の項がある。野田社長の退陣は当然の要求であることは理解できる。驚くべきことは、借入返済が難渋している会社の社長に1,000万円を払うということだ。
年に1,000万円ではない。月に1,000万円払うのである。年払いで1億2,000万円になる。別に東京アートが払うのではない。Pe社の収益から払うのである。「1億円以上の年収を保証してもPe社は充分に採算取れる」と三木氏は判断していたのであろう。同氏の金銭感覚は厳しい。あとの項目で触れるが、下請け業者の支払い値引き行為が公正取引委員会から是正勧告を受けたこともある。金銭に対する執着度が、普通よりも強い証明であろう。
Pe社と東京アートの貸し借りを明確に確定する作業が2009年8月から始まった。東京アートの顧問弁護士は平田弁護士である。9月8日に債務の確認及び債務弁済契約公正証書が締結された。公正証書(資料2)を見ればわかることだ。「1.買掛金債務は金利含めて6億2,390万6,866円」、「2.借入金債務6億9,570万2331円以上」、合計13億1,960万9,197円の支払債務を確定したのである。興味深いことは「返済方法別途協議事項有り」として具体的に返済事項を公正証書の中に作成しなかったことだ。取材してみると、この返済協議事項に関しては「まだ協議中だったから作成しなかった」というコメントを得た。
【資料2】
東京アート(株)
代 表:代表取締役会長 三木 正市
所在地:東京都中央区新川1丁目23番5号
業 種:紙器印刷他
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