大手住宅メーカーがいち早く商品化を進めている「長期耐久性能住宅」。これに対して、地場密着型ホームビルダーはこれといった特性を出せず、出遅れ感が否めなかった。しかし、ここにきて品質を補完する製品が出始める。

　九州各県に物流ネットワークを持つ（株）キユーハウ（福岡市東区）は、防虫防蟻処理薬品のトップメーカーである越井木材工業（株）（大阪市住之江区）の関連会社・（株）コシイプレザービング製の「ハウスガードシステム・緑の柱」の取り扱いを開始した。
　国産杉材の柱に、薬剤「マイトレックACQ」を強制的に加圧注入することで、木材の繊維細胞に含まれていた水分を除去。グリーン材が経年変化で割れたり、曲がったりする欠陥を防ぐ（寸法安定精度）。防虫防蟻処理効果も長期間にわたり維持できる。
　同社では、10年後に再施工すれば、物件引き渡し後20年間にわたり品質保証できる「ハウスガードシステム」を採用している。グリーン材への加圧注入であるため、ビルダーにとってコスト面でもメリットが大きい。

　一方、キユーハウに対抗して木材プレカット加工大手の（株）市岡（福岡市東区）や黒田木材商事（株）（福岡県須恵町）は、越井木材工業本体がKD材や集成材に加圧注入した「赤い柱」を採用している。グリーン材よりもさらに含水率が低く、寸法安定性に優れている点を強調している。

　また、黒田木材商事は熊本県多良木町の「多良木町森林組合」（代表：味岡和國）と提携し、「燻煙木材」の取り扱いも開始した。この「燻煙木材」も寸法安定性に優れ、白蟻や木材腐朽菌の害に強く、住宅の長期耐久性能に優れている。同組合の製品はすでに（株）未来工房（福岡県久留米市、代表：金原巳和子）でも全面採用されている。

　同じく「燻煙木材」でも、鹿児島市のドリーミィ大和（株）の製品は、太宰府市の九州国立博物館や鹿児島県立博物館で採用されているほか、糸島市の（株）へいせいや古賀市の（株）長崎材木店でも採用されている。住宅の長期耐久性能が関心を集めるようになって燻煙木材が注目を浴びてきているのだ。

　新設住宅着工戸数が一挙に年間80万戸を割り込むような時代が到来し、これまでと同じような手法では生き残っていけないのは自明の理。各住宅メーカーも、必死で差別化の道を探っている。
　こうした取り組みにより、大手ハウスメーカーに負けない住宅が実現するのである。住宅会社１社では限界があっても、各材料や部材を取り扱うメーカーの力によって、「家」の品質は向上する。名前に左右されず、自身が納得する住宅を安く、安心して建てるためには、安易な妥協は決してしないことである。

【石崎　浩一郎】

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