責めるべき対象はいくつかあるが、民間の激しい受注競争や単価安などの現状があるにもかかわらず、それを野放しにしている国の責任は大きい。「国に何とかしてもらいたい」というのが、拠りどころのない中小零細の企業経営者たちの本音だ。どこかで策を講じなければ、いくら今の状態で仕事が増えたとしても、やるだけ赤字が増え、資金繰りが悪化する企業が増えることとなる。
発注者や元請業者のモラルなど、他にも多くの問題があるが、いずれの立場においても、中小零細の下請や孫請業者がバタバタと倒産しているという事実をしっかりと認識する必要がある。例えば、××協力会に加盟している小さな会社が倒産しても、若干話題となるだけで、誰が責任を感じるわけでもないだろう。
安い仕事を請け、いかにコストを削減し、少しでも利益を出すかなどの議論がなされること自体、極めておかしなことなのだ。儲かるために会社を経営するのではなく、何とか会社を続けていくために経営している。そのような経営感覚を持った経営者は本当に多い。どこかで負の連鎖に歯止めを掛けるような手を打たなければ、現状が当たり前という感覚に陥り、さらに現状から抜け出すことが難しくなる。今こそ、国と建設業界が一体となり、建設業復権に向け、新たなアクションを起こしていかなければならない。
【楢崎賢治】
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