佐賀県建設業協会 会長 岸本 剛 氏
「コンクリートから人へ」。このフレーズが拡大解釈されて公共投資自体が悪の権化のように取り扱われている風潮がある。だが中央大都市と地方や地方のなかの地方では公共投資の意味合いが異なっていることを忘れてはならない。メディアのあるべき姿は何なのか。建設業の存在意義は。佐賀県の現状を佐賀県建設業協会の岸本剛会長にうかがった。
――マスコミ報道などでは建設業界がかつての癒着、談合のイメージからか悪の存在であるかのような言われ方をすることがあります。どうお感じになっていらっしゃいますでしょうか。
岸本 東京や大都市に足場を置くマスメディアと、地方に根ざすマスメディアとでは取り上げ方が異なるように感じます。東京や大阪などの大都市でしたら都市のインフラも充分に行き届き、再開発の上に再開発を重ねるような状況があるのでしょう。これだけを見ているのならば、これから先の社会資本整備は必要ない、と結論付けてしまうこともあろうかと思います。けれども、地方に行けば行くほど、基本的なインフラが充分に満足していないことが分かります。中央のメディアは「建設業は悪だ」と声高に言うこともあるかも知れないですが、私たちの佐賀県ではメディアも比較的理解を示してくれているように思います。
――たしかに東京は世界でもまれな再開発が続けられる都市ですから、そのような大都市と地方とでは同じ論調で語ることはできないのかも知れません。
岸本 私たちの地元の新聞社は比較的客観的に物事を捉えてくれているように感じています。これはとてもありがたいことです。
――具体的にはどのようなことでしょうか。
岸本 公共工事の入札のとき、最低価格で複数社が並ぶとくじ引きのような方式で落札業者を決めます。これは佐賀に限ったことではないと思うのですが、私たちは常々、この方式に対して疑問を持っていました。けれども、自分たちから報道関係者に話しをするというのは、利害が絡む当事者の主張ということで曲がった捉え方をされかねません。そのため情報を流すことを自粛していたのです。それを地元新聞社の記者がどこからか聞きつけてきて、官と建設の両者を取材して客観的に「おかしい」と結論付けてくれました。その記事が新聞の一面を飾ったのです。地域や媒体によってスタンスは異なると思いますが、佐賀は比較的色眼鏡がかかっていない報道をしてくれていると思います。
【文責・柳 茂嘉】
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