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ナチュラルグループ本社の危機(2)
特別取材
2010年8月11日 13:32

<ブラジル酵素を発売>

 その間、同社は積極的にブラジルやパラグアイにも進出して農地の購入を進め、12月にはブラジルに代理店第1号店をオープンする。後に大きな問題となる『ブラジル酵素』に行きつく道筋が、すでにこのあたりに胚胎している。
 77年5月にNNAFA無添加食品販売協同組合を設立し、代表に長谷川四郎元農水省(当時)が就任している。同組合はナチュラルグループ本社が仕入れる製品の品質検査を担う機関として設立されたもの。現在の所在地は、日本緑十字社と同じく品川区の大井になっている。
 翌78年1月に高輪中央ビルを7億円で購入する(同ビルはその後本社ビルとなり、09年10月、資金繰りに行き詰まった同社がJR東日本に売却することになる)。3月に三菱商事(株)と提携し『ダイヤクロレラ』の販売を開始。79年4月に(株)バイオックス(これは後に同社の健康食品受託製造工場として群馬で生まれ変わる)を設立し、羽毛布団第1号商品『シルバー』発売の足がかりをつくる。80年5月には『ダイヤローヤルゼリー』を発売する。同品はその後も同社の有力商材となる。
 81年4月、管理者養成学校「地獄の訓練」に参加したのを契機に、9月からはNG教育訓練を開始。83年5月には人材育成の殿堂「経友館」を落成する。
 83年には、フィリピンのルバング島から生還してブラジルで小野田牧場を経営していた小野田寛郎元日本軍少尉をANB農場顧問に招いたり、『ダイヤクロレラ』の広告に「上を向いて歩こう」で知られる歌手の故・坂本九を迎えたりと、派手なパフォーマンスと幅広い人脈でその名を広げていった。10月には化粧品製造部門の綾瀬工場が完成、翌84年1月には生産メーカーおよび契約農家で結成する生産者グループ「れい明会」が発足した。一時は120社を超えた同会も、今は110社にまで数を減らしている。
 86年10月にアニュー第1号店を仙台市にオープンして、いよいよ固定店舗での展開がスタートする。93年にはアニューのフランチャイズ展開が始まり、この年、九州、東北、北海道、中日本、中四国と、リテールサポートセンターが続々と開設されていった。
 また03年には、いよいよ『ブラジル酵素』を販売するための後援会がスタートし、凋落への一歩を大きく踏み出すことになる。このブラジル酵素は「ビンテージ酵素」「クシ酵素」などさまざまな名前で呼ばれており、その後リニューアルを繰り返すことになる。
 ざっとナチュラルグループ本社の歴史を振り返ってみたが、これには理由がある。結果には必ず原因があるように、成長期にあった同社の歩みの1つひとつに衰退のきっかけを生み出す原因が内在しているのである。次に、同社の衰退の道筋をドキュメント風にたどってみたい。

ナチュラルグループ本社の沿革

(つづく)

[COMPANY INFORMATION]
(株)ナチュラルグループ本社
代 表:橋本 幸雄
所在地:東京都港区高輪2-20-23
設 立:1973年7月
資本金:4億9,460万円
年 商:(09/3)165億6,090万円

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