12.強権的手法を駆使した企業収奪の結末は?
東京アートの経営状態の現状はどうなのか(詳細は調査レポートをご注文いただきたい)。多角化経営に挑戦しているが、効を奏した例は少ない。また、本体の東京アートの業績も低迷しており、借入額も年商以上に膨れあがっている。三木氏としては、「どうしても高収益の通販会社を掌握したい」という動機は事業欲望のレベルだけではなかった。「東京アートグループの将来にとって稼ぐ通販会社を持つか持てないかは死活問題」という危機意識がある。まさしく経営戦略上の核心問題だったのだ。だからこそ、東京アート・三木氏はPe社収奪に異様な執念を燃やし続けたのである。
たしかにやり方次第では、ネット通販による化粧品販売で年商20億円の規模に迫れば3億円の利益を捻出するのは容易なことである。であるからこそ三木氏は、「野田氏に月額1,000万円(年収1.2億円)払っても辻褄が合う」と勘定していたであろう。東京アートの業態は、従業員を数多く抱えて薄いマージン経営が強いられる宿命にある。三木氏のPe社が欲しい気持ちは充分に理解できる。それはさておき、今回の企業収奪の結末の影響はどうなったのか。
Pe社の破産処理を巡って残された問題は、商標権の利用権評価の入札である。いま予想される落札価格は3億5,000万円以上と囁かれている。東京アート=三木氏側としては、この商標権の利用権を落札させて化粧品ネット通販事業を行なう魂胆があるのであろう。これまでに訴訟費用(弁護士料含む)は莫大なものであろう。仮に落札したとする。果たして3億5,000万円も使って掌握する通販事業を託する人材がいるのか。スカウトしてきても、果たして三木氏ワンマン体制のなかで定着するかな!!
また仮に商標権の利用権を押さえたとしても、商売ができるのかしら?手の内は見せられないが、必ずこじれることになっている。加えること、Pe社の破産によって東京アート側が焦げ付いた13億円強の負担は重くのしかかってくる。東京アートはこれにプラスして化粧品原料仕入れの代金として億を超える出費があるようだ。三木氏の道楽=商法駆使した会社収奪の結果、東京アートが13億円強焦げ付いたことは大きな信用失墜を招くことだろう。まずは金融機関が疑念の念を抱くはずだ。「商標権利用権を落札させる資金を貸して下さい」と金融機関に融資持込をしてもスムーズに行かないだろう。
第二会社のPe-L社の前途は茨の道だ。救いは社内が結束していることだ。注文も増加傾向にある。一方、東京アート=三木氏側は戦い終えて日が暮れた後にどうなるのか。やはり、なお一層の茨の道が待ち構えている。今回の取材の結論は「策士・三木氏が策に溺れる」ということである。東京アートは三木氏のワンマン会社だ。総指揮官の判断の勘が鈍れば、その組織の運命は覚束なくなる。
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