「家飲み」の言葉が雑誌などを多く飾る昨今。家飲みレシピの本も数多く出版されるなどブームを起こしている。その煽りだけはでないが、居酒屋業界は厳しい状況となっている。
道路交通法改正による飲酒運転の厳罰化に加えて、長引く不況から節約志向が進み、自宅で飲む「家飲み」をする人が増え、ここ数年居酒屋の売り上げは低迷している。
居酒屋の市場規模は、1992年の1兆4,629億円をピークに年々減りはじめ、2010年は1兆円を切ると予想されている。
大手居酒屋チェーンは低価格化を進め、昨年からは"全品均一価格"を導入する店が増え、「300円均一」や、中には「270円均一」といった店も登場するなど、熾烈な価格競争が繰り広げられている。この結果、1人当たりの客単価も下がり「3,000円時代が懐かしい」といったこととなり、今では1人1,000円台でも充分楽しめるようになった。
長引く不況やデフレから、客足が遠のいていることも事実だが、市場規模の減少には大手による値下げ競争も大きい。92年当時は1品の平均価格が500円程度が平均的だったのが、今では300円台がざらで、4割も価格が下がっているのだから市場規模が30%以上ダウンするのもうなずけるものだ。
大手チェーン店では、価格を下げても利益を確保するために、顧客がタッチパネルで注文でき、自分で取りにいくスタイルの店で人件費を大幅にカットしたりしている。
中洲の街を見ても、確かに客足は遠のいている。その中で、更に値下げ合戦が続くため、市場規模はますます小さくなることも予想されており、居酒屋業界にとっては厳しい時代となっている。
【石崎】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら