食用塩公正取引協議会は先ごろ、同協議会自社ホームページにおいて、「訂正とお詫び」と題する一文を掲載した。同文は本年5月12日、産経新聞の取材に応じた同協議会副会長が、「塩の値段は製造や輸入の規模で決まる。味の違いは普通の人が分かるものではない。料理の達人のような人が味見をして、『少し違うんじゃないか』という程度」「品質や味の差が小さく価格差が大きいことから誇大な表示になりがち。表示についての改善努力を重ねたい」――との回答を行なって業界に波紋を広げたことに対する謝罪表明。あたかも公正な競争を阻害するかのような誤解を与えるとして、中小事業者から反発の声が上がっていた。
謝罪文は「消費者の皆様方へ」との見出しで、今回の報道が「(副会長)個人の見解であった」にもかかわらず「協議会の方針であるように」報道されたと前置きしたあと、「味」「品質」「価格」の3点に関して公式見解を述べている。味と価格に関しては、協議会としてはあくまで「言及することはない」とし、その主観性と自由性を尊重している。また品質についても、食用塩のなかには成分や物理的性質の差が大きいものもあるとし、「客観的な根拠に基づくことを前提に」判断するとしている。
問題発言の本質には、公的立場にある副会長が上述のような発言を平然と行なったという点にこそある。チェック体制が機能していない協議会の体質そのものが問題視されているなかで、副会長の個人的な発言として協議会全体の責任をすり替えて事態を収束させようとする意図そのものが問題と言えなくもない。副会長に対する処分もけっきょく何ら行なわれずじまいだった。
これによって2カ月にわたる一連の騒動にひとまずピリオドが打たれることになるのかどうか、個性派の塩事業者は果して今回の措置に納得したのだろうか。
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