真実は小説より奇なるか 銀行のあるべき姿とは
記者所感~『火ノ国銀行』主人公のモデルと会って(3)
真相を追究していく
もし仮に、宮本氏の言い分が正しいとしたら、銀行は批判を免れないだろう。そして、当事者たる経営陣は責任を問われることになる。経営理念とはただの言葉ではない。その会社の存在意義を表したものである。自分たちで策定した理念にすら背いたとなると、その存在意義に疑念が生ずるのだ。これは由々しき問題である。
逆に、宮本氏の言い分が間違っているとしたら、宮本氏はなぜそんな勘違いをしたのかを明らかにせねばなるまい。ただし、その前提として、銀行側は問題になっていることを認識して反論せねばならない。今は一方的に自分が被害者であると言われているのだ。これで反論しないとなると、欠席裁判よろしく世間は「やっぱり事実だったのだ」と思い込んでしまう。銀行側は顔に泥を塗られているのだ。
信用が何よりも大切な銀行である。預金者のためにも、株主のためにも、事実関係を明らかにして身の潔白を訴えるべきだ。ここまできても話さないのならば、これは事実として認めていると判断されても仕方のないことになる。
地元のマスコミも問題だ。全国紙でさえ取り上げているのに、何事もなかったかのごとく知らぬ存ぜぬでは、地方メディアとしての誇りを疑う。お膝元で発生している問題があるのかないのか、ぜひとも自分たちの手で取材して見極めてほしい。
銀行の私物化、人事権濫用を背景に持つパワハラの横行、不透明な金の流れなどを今後、弊社では明らかにしていきたいと思う。真実が小説と違うのか、同じなのか、それ以上なのか、一地方銀行と一中小企業に限った話なのか。今後の取材をお待ちいただきたい。
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