「あるかぽーと」の優先交渉者に選定されていた大和リースが撤退を表明した本当の理由を分析してみることにする。
昨年3月に江島市長に代わった中尾市長は、「あるかぽーとの公園緑地化」で当面様子を見る方針を打ち出しており、開発の白紙化はその線に沿ったものと見られている。しかし、観光に詳しい事情通の話によれば「運営主体から見ると、下関に進出しても成功する見込みがないと判断したのでは」という。
つまり、その要因として以下のことが大きなネックと考えられる。
過去10年のNHKが放映した大河ドラマ「武蔵」(2003年:巌流島)、「義経」(05年:壇ノ浦)、「竜馬伝」(11年:馬関戦争の地)に登場する歴史上の舞台である下関市は、豊富な観光資源を持っているものの、それが生かされていない要因の一つは交通体系にあると言われている。
飛行機を利用して山口宇部空港から空港バスを利用して1時間余りかかる。また、北九州空港からも1時間弱かかる。とくに観光客誘致の大きな武器である新幹線の時刻表を見ても、下関の玄関口の新下関駅(JR西日本)に「のぞみ」は1本も止まらない。1日に停車する新幹線は、上り28本(こだま24本、ひかり4本)。下り29本(こだま25本、ひかり4本)。広島・大阪方面へは10時台~14時台は各1本、下りも時間帯がややずれるが、1本しか止まらない時間帯が10回もあり、「海峡の町」として観光に力を入れている下関市民のみならず、旅行者にとって不便極まりない新幹線のダイヤ事情が背景にある。
【北山 譲】
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