ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

中洲バトルロワイヤル

中洲バトルロワイヤル2010(25)~みかじめより怖いヤクザ講
中洲バトルロワイヤル
2010年8月16日 08:00

 前に書いた「みかじめ」のほかに、暴力団が飲食店から金を巻き上げる手段がある。それは暴力団が親となって行なう「講」だ。基本的な仕組みは「無尽(むじん)」「頼母子講(たのもしこう)」と同じ。沖縄県では「模合(もあい)」と呼ばれる。これらの講は、仲間同士で掛け金を払い、まとまった金で困っている仲間を救うといったものだ。
 その歴史は古く、鎌倉時代までさかのぼり、庶民の相互扶助の手段として始まったものとされている。現在でも、親戚や職場、同窓会などでも行なわれることが多い。貯まった金で飲み食いしたり、旅行に行ったりすると言えば、分かる人も多いはずだ。

中洲風景 ただし「ヤクザ講」は、まず掛け金のケタが違う。中洲で耳にした、ある「ヤクザ講」を例に解説しよう。掛け金の最高額は1回30万円。参加者はクラブ、スナックなどの経営者だ。親である暴力団関係者も入れて参加者が10組なら、毎回300万円の掛け金が集まることになる。そして金は、親の暴力団関係者が預かる。もちろん、従業員の給料やテナント家賃の支払いなどで、金に困っている時は落札してもよい。

 落札は、掛け金の額が最も少なかった者になる。たとえば、25万円を入れたら10組×25万円となり、250万円を手にすることができる。ただし、それは講からの融資。返すときは毎回の掛け金として集まる300万円になる決まりだ。差額の50万円が利息になる。よほど困っていない限り、落札をする者はいない。もっとも、輪番で落札者を回す仕組みもあるという。また、言わずもがなのことであるが、1度入ったら、そう簡単には抜けだせない。

 講のメンバーで年に1回、正月などに温泉旅行に行くこともあるという。しかし、その時は掛け金が100万円。集まる掛け金は1,000万円となる。飲み食い代や交通費、一泊したとしても今までの貯えを使い切ることはないだろう。

 つまり、定期的に一定の金額がプールされ続け、無くならないのが「ヤクザ講」のからくりだ。貯まった掛け金は親の思い通り。元を正せば、講に参加している全員の金ではあるが、本当に貯えられているのかどうか、真相は闇のなかである。

 「本当に怖いのは、みかじめよりも講のほう」と、元飲食店関係者は話す。ある県警OBによると、「ヤクザ講は、金の流れをはっきりさせることが難しい。組関係者の自白もしくは、被害者である店関係者からの情報提供が無ければ...」という。客向きの華やかな様相の裏で、恐怖に包まれている経営者は少なくはない。

長丘 萬月(ながおか まんげつ)
 1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

中洲バトルロワイヤル一覧
中洲バトルロワイヤル
2012年10月12日 14:38
中洲バトルロワイヤル
2012年7月25日 07:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル