2010年上半期、中国株式市場は、世界2位の下げ幅を掲げながら、世界を驚かせるほどにIPO金額が活況を呈しました。期間中、175社が上場を実現し、総額3,238億人民元(1人民元=約13円)の融資を手にしました。
7月14日、アメリカ・ニューヨーク証券取引所"NYSE Euronext"は、「2010年上半期、中国がアメリカやブラジルに代わってIPO活躍度で世界トップになった」との報告を発表しました。
<誰が儲けている?>
まず、事業主の個人財産が爆発的に急増しました。統計によると、2010年上半期だけで、株式が上場したために、約600人の事業主およびその家族が所持する株式だけで1億人民元以上の財産試算になるようです。
首位に立つ化学原料薬会社「海普瑞」の創業者夫婦の持ち株を上場当日の値段で換算すれば、542億人民元に値します。次いで、109億から67億人民元までの株時価で、別の4社の社長がリストの5位以内に入りました。
第二に、ベンチャー・キャピタル業者です。分析によると、ベンチャー・キャピタルの平均投資コストは10倍のPER(※)ですが、今年1月から6月の平均発売PERは51倍になるといいます。あるいは、優秀な企業に投資して、1年から3年を経て、いったん上場すれば、少なくとも5倍の利益をもらえるとの試算です。
こういう高額なリターンを撒き餌(まきえ)に、上半期期間中、国内海外のベンチャー・キャピタル業者が、61のファンドの募金に成功しました。これで、新たに58.28億米ドルの資金を中国大陸に投入し、運営できるようになりました。この数字も、過去10年間同期の新記録を塗り替えました。
第三に、株式の上場に関連する各業者です。これは、株式の発行や推薦を扱う投資銀行、関係書類を作る法律事務所や会計事務所などのことです。推定で、上半期で各業者があわせて113億人民元の売り上げを達成し、融資総額の約4%がこれらのコストに充てられています。
そのなかで、融資金額最高の中国農業銀行は、上場のために、8.55億人民元の諸費用を出したと報道されました。
※PER...株価収益率。一株当たりの純利益で株式を割ったもの。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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