<急リッチの問題>
(1)事業主が急に大衆の話題になり、会社がこれまで以上にスポットを当てられ、注目されるようになっています。特に、改革開放後30年を経て、貧富の格差がますます顕著になった今、社会から、いろんな側面からの検証や疑問が投げかけられています。
例えば、前述した「海普瑞」社の研究開発が、米国のFDA(※)認証を得るかどうかが、最近の報道の焦点になっています。自分の技術がアメリカで認証され、フランスの人々にも認めてもらおうというのに、国内では大いに疑われている。そのことで、研究開発に没頭する創業者夫妻は悩んでいます。
折しも、この夫婦が中国のトップ・リッチになった同月、元3年連続のトップ・リッチが裁判所で懲役14年の有罪判決を言い渡されました。どうも、微妙なプレッシャーを感じさせられている気がします。
(2)リッチ・ストーリーは、間違いなく、より多くの人々を起業するよう激励しています。一方、財産が急増することに魅力され、株式市場がお金を獲得する場所として認識されれば、そこは「冒険家の楽園」になり得るのです。
本来、株式市場は、特に中小企業にとって、成長に必要な資金を融資する舞台であり、その代わりに投資家が企業成長の楽しさをシェアする場所でした。これでこそ、投資家がどんどん資金を投入して、企業の発展を支援できるのです。もし、起業家が株式市場を個人のマネー・メーキングの場だと思ってしまえば、初心が大きく間違っているばかりか、市場自体も混乱に陥る可能性が非常に高くなります。
※FDA...食品医薬品局。消費者が通常の生活を行うに当たって接する機会のある製品について、その許可や違反品の取締りなどの行政を専門的に行う機関。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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