<基幹産業にこそいい人材を>
日本は高度経済成長の栄光とバブル経済崩壊の挫折を味わい、現在、なんとも言えない閉塞感につつまれてしまいました。昨年、50年の長きにわたる自民党政権が倒れ、新たな息吹が政界にも吹き込まれることになり、私は新しい時代の到来を期待しております。これまでの選挙本意の政策から、本当に日本国民のためになる政治へと変わってくれるという期待です。日本では以前から、農業や建築といった肉体を使う職場を敬遠してきた風土があります。危険で汚くてきつい職業が好まれない傾向が強いのです。
けれども、その業界こそが市民の衣食住の食と住を支えているのです。人間らしい基本的な生活を送るための基礎は3Kの業界が担っているのです。それにもかかわらず、額に汗して働く現場はホワイトカラーの職場に比べて人気がありません。本来ならば国の礎を築くための基幹産業であるべきはずなのに、人気がないためいい人材が集まりにくくなってしまっております。
国や自治体は工事の現場や農業にもっといい人材が集まるように工夫をしていただきたいと思います。ただし、職業の選択は自由ですので、農業や建設業を強く推す必要はありません。私が希望するのは、教育の底上げです。底を上げることで、自然に各業界によりよい人材が集まるようになると思います。そして、そうなることによって、私が携わっている建設業界も底上げされるように感ぜられるのです。
<知識よりも知恵の教育を>
教育の底上げといっても、これまでのような知識を増やす教育は必ずしも必要ではありません。数学の公式をひとつやふたつ、今よりも余計に教えなさい、というのではないのです。知識の教育よりも知恵の教育を施してもらいたい。困難な壁にぶつかったときや、新たなものをつくりだすとき、発想が豊かに浮かぶような教育を行なっていただきたいと思います。善悪の判断基準や生き抜くための術(すべ)を教えて欲しいのです。
今、学校で教えている知識は、大人になってからでも身につけられます。法律の知識が必要なら弁護士、会計の知識が必要なら会計士と、人に相談することもできます。
ところが知恵は、幼い頃からの鍛錬に由来する部分が多いのではないでしょうか。そこを教育関係者の方々がしっかりと理解して、鍛錬する場を与えて欲しい。知恵を身につけることで、旧来の方法論にとらわれない新しい価値観や商品、サービスが生まれていくと思います。
弊社の社名は「三鐘エフゼット」です。三鐘とはキリスト教の教会において、出生、結婚、死亡の際に撞かれる3度の鐘を指します。エフゼットは、Fruitful Zone(実りあふれる地域)の頭文字をとったものです。つまり、「生涯を通じて実りある地域社会に貢献したい」という意味を込めました。同時に弊社の理念を表しています。
教育をよくすることで地域に多くの実りがもたらされる、そんな社会になってほしいと思います。そして、そのためには私も力を出し惜しむことはありません。これからもっとよい社会にしていくこと、そのための働きかけを微力ですがさせていただきたく思っております。
<プロフィール>
小林 喜幸 (こばやし よしゆき)
1947年1月生まれ。福岡県糟屋郡篠栗町出身。西南学院大学卒業後、「西日本相互銀行」に入行。様々な経験を経て87年、「三鐘エフゼット」を設立。趣味は読書。歴史小説を好み、郷土史にも精通。
<会社概要>
(株)三鐘エフゼット
代表者:小林 喜幸
所在地:福岡県糟屋郡志免町桜ヶ丘1-15-8
設 立:1987年
資本金:1,100万円
TEL:092-936-8081
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら