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特別取材

ナチュラルグループ本社の危機(1)
特別取材
2010年8月10日 11:25

アニュー運動がもたらした功罪 カリスマ・橋本体制の終焉

 「ナチュラルグループ本社が危ない!」―同社をめぐって業界内では懸念の声が絶えない。そんななか、カリスマのなかのカリスマといわれる橋本幸雄会長が(株)ウェルの会長・富田義久氏に代理執行権を与えた。「ブラジル酵素」をめぐる疑惑はどうなったのか。アニュー運動の歩みを振り返りながら、ナチュラルグループ(NG)本社の闇に光を当てる。

【アニューのあゆみ】

<SKHとして誕生>

 1972年11月、ニュープロダクトプロモーションカンパニー(NPP)と称するSKHグループが、東京パレスホテルの一室を事務所にして発足した。これこそ、現・(株)ナチュラルグループ本社の前身にあたる。
 SKHとは、俗に「説明講習販売」とも「宣伝講習販売」とも言われており、特定の会場に人を集め、商品説明を行なって販売を促進する商法のこと。今でこそ「SF商法」や「催眠商法」などとも揶揄されているが、当時としては新しいスタイルの対面商法として注目されていた。「蝦蟇(がま)の油売り」の室内版と考えれば、わかりやすいかもしれない。
 ニュープロダクトプロモーションカンパニーは、旭硝子の耐熱ガラス食器「パイロセラム」の実演販売で売上を伸ばしていく。代表の橋本幸雄は北海道の出身。中肉中背でピンと伸びた背筋には礼節を、眉間の迫った黒目がちな瞳には人を惹きつける柔和さを、えらの張った風貌には頑固一徹な意志の強さを同時に漲らせていたという。
 翌73年、資本金200万円を元手に橋本幸雄代表が10名の社員を率いて、(株)ナチュラルウェアを設立し、正式に旭硝子の食器代理店となる。10月には旭硝子の資本25%を注入し、1,500万円に増資。本社を新宿区の西大久保に移し、全国紙に人材募集の広告を打つなどして急速に勢力を拡大していった。橋本幸雄会長が理事長を務める日本緑十字社という社団法人がある。ナチュラルグループ本社と同社はどういう関係にあるのだろうか。後者は前者の政治活動団体と明かす関係者もいるが、定かではない。たしかに、日本緑十字社の理事長には政治家も就任している。
 日本緑十字社は、74年7月に「地球の健康づくりを目的に」設立された。日本緑十字社の現社長は正食運動(マクロビオティック)を推進する久司道夫氏である。正食運動といえば、玄米食を主張する故・石塚左玄や桜沢如一が提唱したマクロビオティック理論の流れを汲むものである。枝葉が広がりすぎると本文の主旨を逸脱してしまうため、詳細には触れないが、いずれにしても、ナチュラルグループ本社と日本緑十字社はクルマの両輪の役割を果たし、補い合いながら発展してきた向きがある。
 その双方の中核にあるのがアニュー運動だということをここでは押さえておきたい。アニュー運動とは、「安易に薬や病院に頼らず」「自分たちの健康は自分たちで守る」「地域の健康や環境は地域で守る」―という運動で、究極の目標にナチュラルウェルネスシティ(NWC)構想を描いている。つまり、豊かな自然環境のなかで、人と企業と社会が共生共栄するための思想とノウハウを集めた理想郷づくりだ。たいへん耳ざわりの良い言葉で、共鳴した人びとがユートピアを目指すだけなら何ら問題はない。しかし難しいのは、そこにさまざまな利害関係が交錯し、ユートピアを目指して集まってきた人々に対し、さまざまな商売が行なわれることにある。

<食と環境に着目>

 橋本代表に一大転機が訪れたのは、翌74年のことである。戦後20数年間、国を挙げて高度経済成長を享受していた我が国だったが、一方では公害汚染が各地でひき起こされるなど、それにともなう訴訟も相次いで争われていた。大量生産・大量消費に警鐘を鳴らす知識人も多く、やがて高度経済成長の負の部分が浮き彫りにされはじめていく。橋本代表は当時、農薬問題を告発した米国の女流作家レイチェル・カーソンの著作「沈黙の春」に大きな影響を受けている。同書は環境活動家のバイブルともされ、我が国では環境ホルモンの危険性がクローズアップされた90年代にもベストセラーとなった。
 「沈黙の春」に出会ったのとほぼ同時期、有吉佐和子の出世作となる「複合汚染」が朝日新聞紙上で連載されはじめる。橋本代表は同書を読破、大きな感銘を受ける。それと前後して次のようなエピソードも伝えられている。
 ある日、知り合いの産婦人科医を訪れたときの話である。「妊婦の4人に1人が、健康な赤ちゃんを授かることができない」と語る医者の言葉に愕然としたという。おそらくこのとき、食を通じて汚染されていく胎児の悲劇、農薬による環境汚染がもたらす罪深さが彼の読書体験に重なり、日本を取り巻く四季豊かな自然環境の危うさを内面的に直視するようになったのかもしれない。この瞬間、子を育てる親の責任にまで考えが思い至っていたかどうかはわからないが、少なくとも食の安全に対して強い関心を抱いたのは間違いない。
 同年、彼は静岡県清水市の営業所で後のアニュー運動の支柱ともなる5大スローガンを策定した。創価学会員といわれる彼の内面には、もともと宗教的な使命感と、目的に一途に取り組む生真面目さ、さらに人を惹きつけるカリスマ性が内在していたものらしい。
 橋本代表は海外へも目を向ける。「潜在能力の開発」「国際感覚の練磨」「集中効果の促進」「共同体意識の醸成」―これらを目的とする海外研修を、橋本自らが団長となって東南アジアで開催している。19名が参加した。74年8月のことだ。そして翌月には、ナチュラルヘルスショップ第1号店を神奈川県の大和市にオープンした。彼の行動力の旺盛さには目を見張るものがある。翌75年には南米、台湾にも進出。無添加パンの開発研究を行ない、試作に成功している。
 同年、イメージキャラクターに人気グループ「クレイジーキャッツ」の石橋エイタローを起用してテレビCM放映を開始。翌76年3月には無添加パン『オー・ブレッド』の発表会を帝国ホテルで開催している。同8月には経営者を目指す判断基準を示したとされる理念書「経友」を刊行しているが、同書は同時に、日本緑十字社の理念書とも言われている。

(つづく)

[COMPANY INFORMATION]
(株)ナチュラルグループ本社
代 表:橋本 幸雄
所在地:東京都港区高輪2-20-23
設 立:1973年7月
資本金:4億9,460万円
年 商:(09/3)165億6,090万円

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