日本銀行は、中小企業の資金繰りについて、「総じて改善の動きが続いている」との見方を強めている。日銀短観や各種アンケートの結果によれば、資金繰りは「2000年代の平均並み、ないしは既に平均を上回る水準まで緩和度合いが強まっている」ためである。
8月13日に公表された7月の『金融政策決定会合』の議事録によると、ある審議委員は企業の手元流動性の対売上高比率が「特に中小企業において、既往ピークを更新している」と述べ、資金繰りの改善度合いを強調している。
確かに、最近大口倒産は発生していないが、相変わらず小口倒産は沈静化していない。昨年施行された金融円滑化法による元金返済棚上げの効果もあるのだろうが、棚上げ期限到来に伴い資金繰り逼迫による倒産が多発することが懸念されている。
【久米 一郎】
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