今後は少子高齢化が進み、世帯増加は鈍化していくことが予想される。よって住宅の供給においてもボリュームよりクオリティを一層求められてくる。住まいの質をどのようにして高めるか、既存住宅(中古住宅)をどのように価値を向上させて活用していくのかが、今後重要な要素になってくる。
経済白書では、近年における住宅投資、住宅ストックの質と量の関係を把握するために、工事費予定額と1戸当たり床面積を分析している。
1990年代以降、住宅着工の実質工事費予定額は減少傾向にある。工事費予定額は1990年を指数100とすると、同年を境に減少傾向で推移。名目ベースの工事予定額も減少し、住宅投資デフレーターは上昇傾向である。一方で、床面積当たりの工事予定額は、ほぼ横ばいで動いている。これは、"質"を落とすことなく維持している事実が明らかである。
以上の中味を鑑みて、我が国の既存(中古)住宅の取引数が少ないと言われている。実際先進諸国と比較すると、我が国以外の先進国(米・仏・英)は新築住宅より既存(中古)住宅の取引件数を上回っている。住宅取引数のうち、既存(中古)住宅取引は70~90%を占めている。我が国の既存(中古)住宅取引件数は、住宅取引件数の約10%と、ほとんど新築住宅が取引のシェアを占めている。年々我が国でも、既存(中古)住宅の取引は増加傾向にあるものの、その割合は12~13%と、大きな伸び率ではない。浸透するには、時間もさることながら、ユーザー(施主)の住意識が、変化していかねばならないであろう。
【河原 清明】
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