昨年の政権交代により、鳩山由起夫、菅直人と民主党代表が総理大臣として政権を担ってきたが、任期切れにともない9月には代表選挙が行なわれる。衆院で過半数を占める同党代表はそのまま日本のトップの座に就く。代表選には早々と続投宣言している菅代表に対し、今回は対抗馬が出るのは必至の情勢。党を挙げての代表選が行われるのは2002年以来。その投票方式は民主党の組織内規定といえばそれまでだが、国民からすれば看過できない重大な問題がある。
<国民が注視すべき代表選の在り方>
鳩山内閣が迷走の末に瓦解。後を継いだ菅内閣も、普天間基地問題は先送り。高校授業料無償化で朝鮮高校も対象にすべく小細工を弄するなど、迷走、暴走ぶりは鳩山内閣と五十歩百歩。挙げ句は、日韓併合100周年にあたり、事前に危惧されていたように周辺国にもたらす波紋を考慮することなく「菅談話」を発表。さっそく中国からは「我々にも謝罪せよ」の声が上がり、当の韓国マスコミからも「頭の下げ方が足りない」と言われる始末。代表が代わっても、民主党政権の本質は変わらないことを露呈した。
そんな民主党の代表がそのまま日本のトップに就くとあれば、代表選がどのように行なわれるかは国民全員が注視すべきである。
8月5日、民主党中央代表選挙管理委員会は代表選について公告。選挙期日は9月14日、告示日は9月1日となった。菅代表に続いて8月になって海江田万里衆院議員が出馬意向を表明。ここ数年、代表は国会議員による両院議員総会で選ばれてきたが、今回は8年ぶりに党を挙げての代表選となる可能性大だ。
その代表選候補者は「党所属国会議員」で、9月1日の告示日に国会議員20人以上の推薦人を得て届け出る。一方、投票権を持つ有権者は、(1)「一般党員およびサポーター」(2)「地方自治体議員党員」(3)「国会議員党員」の3つに分かれ、それぞれの投票数がポイント換算されて集計される仕組みだ。
一般党員およびサポーターは、居住する小選挙区で郵便投票する。そこで最多得票した候補者がその選挙区で1ポイントを獲得する(全国で300選挙区)。ただ、一般党員およびサポーターが100人に満たない選挙区では、ポイントはゼロにカウントされる。地方自治体議員は全国を1選挙区として100ポイントが与えられ、郵便投票の結果をドント方式で各候補者に比例配分される。国会議員は1人2ポイントを持ち、9月14日の代表選挙集会(臨時党大会)当日に直接投票する。
恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。
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