<福岡を国内外の芸術で埋め尽くす>
これから福岡が都市としての品格を向上させるためには、国際文化都市を目指すしかあるまい。そのための第一歩として『福岡国際芸術祭』の開催を提唱したい。
私が考えているのは、映画祭や音楽祭や美術展などの単独のものでなく、美術・演劇・能などの伝統芸能・舞踊・前衛舞踊・詩の朗読・映画など、あらゆるジャンルを網羅したサマーアートフェスティバルである。
2週間のフェスティバルの開催期間中は、公共施設の使用料を無料で提供し、また企業所有の施設に対しても協力を申し込んで、出来るだけ多くのスペースを確保する。使用可能なスペースが決まったらインターネットで参加希望者を国内はもとより、世界中に呼びかける。搬入費用、交通、宿泊費などの一切が自己負担となるが、作品の販売や入場チケットなどの販売は自由とし、売上金はすべてアーティストに帰属するものとする。
美術展に関しては、美術館のアートギャラリーは無論の事、銀行、ホテルなどのホール、ビルの壁面を利用して、グループ展、あるいは個展の集合展を行なう。展示作品は絵画・書・工芸・陶芸・彫刻などが考えられる。国内外の個性あふれる作品で福岡市を埋め尽くすのである。考えただけでも壮観ではないか。
演劇に関しては、劇団による演劇のみホールを使用。ひとり芝居やパントマイム、ソロの舞踏などの少人数の出演によるパフォーマンスは小ホールや公民館を利用する。ちなみに、最近の公民館はかなり設備が整った上質のものが多い。
音楽の場合、特にクラッシックの演奏は、音響が重要なファクターとなるので、音楽ホールを使用。ロックやジャズなどは公園などの野外ステージ。ストリートミュージシャンには場所と時間を指定する。
<多くの市民が参加する内容に>
フェスティバルを盛り上げる為には、賞を設ける必要がある。部門別に数種類の賞を設け、受賞作品のなかからさらに総合グランプリを選出する。選考は評論家などの専門家による採点以外に、インターネット上での一般からの投票も有効な方法となり得る。
授賞式は福岡ドームで行ない、セレモニーそのものをアメリカのアカデミー賞授賞式のようにさまざまなパフォーマンスの舞台として演出。多くの市民が参加したくなるような魅力あふれるものにしたい。
そのためにまず肝心なのが運営基金である。第1回目をスムーズに成功させるためには市の予算に計上して貰う以外には無いだろう。一般市民からひと口1千円の寄付を広く募ってみるのもいい。あるいは福岡国際芸術祭のサイトに協賛広告を掲載する方法もある。しかし、目に見えないもの、かたち無きものにはなかなか人は飛びついてはくれないという現実がある。最初の車輪を廻すのはいつの時代も困難を伴う。しかし、やってやれない事などないのも事実だ。
真夏の福岡の国際芸術祭は、じわりと市民に浸透しつつ、祇園山笠やどんたくのように福岡を代表する祭に成長し、世界に向けて発信できるものと確信している。
<プロフィール>
中島 淳一 (なかじま じゅんいち)
1952年、佐賀県唐津市生まれ。75〜76年、米国ベイラー大学留学中に、英詩を書き、絵を書き始める。その後、各国の絵画展で多くの賞を受賞。86年より、脚本・演出・主演の一人演劇を開始。演目「砂漠の商人」「信長」「釈迦」「ナザレのイエス」など40作。上演回数も1,400回を超える。現在、異色の芸術家として注目を浴びている。劇団エーテル主宰。
<事務所概要>
代表者:中島 淳一(主宰)
TEL:092-883-8249
URL:http://www.j-nakashima.jp/
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