27日、経済産業省は、円高が企業活動、収益などにおよぼす影響について、8月11日~24日に行なった緊急ヒアリングの結果を公表した。
同調査の対象企業は、輸出製造企業を中心に102社(卸・小売など、非製造業を含む)。
その102社に対して、足下の円高の影響、円高が継続した場合の影響、中小企業・下請企業への影響についてヒアリングした。
<ヒアリング結果の概要>
(1)最近の円高は、すでに、日本の企業の収益を圧迫している。
対ドルの円高で製造企業の約6割強、対ユーロでは約5割強が、「減益」。10年5月(1ドル90円、1ユーロ125円)の調査時に比べ、状況は深刻化(対ドル5円の円高で減益16%から65%に)している。さらに、円高が今後半年も続けば、収益の悪化は更に深刻化する。
また、ウォン安によって、日本企業は韓国企業との競争に苦戦(自動車、鉄鋼、化学、繊維、エンジニアリングなど)している。
(2)1ドル85円の円高が継続した場合、国内産業の空洞化が更に加速する恐れがある。
調査を行なった製造企業のうち6割が「海外での生産比率を拡大」、4割が「生産工場や開発拠点などを海外に移転」と回答。
(3)中小企業の収益も圧迫。さらに、下請企業への影響が顕著。
もし、1ドル85円水準の円高が続いた場合、中小企業の約7割が「減益」と回答した。下請中小企業では、8割強が同回答。
下請企業を中心に、取引先からコストダウンを要請され、受注のコストが安い海外企業に奪われ取れなくなる恐れがあるとしている。さらに、取引先の海外移転の影響を懸念する声が多数あったとのこと。
なお、ヒアリングの詳細や企業の声は下記の関連リンクを参照。
▼関連リンク
経済産業省:「円高の影響に関する緊急ヒアリング」の結果の公表
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