<供給過多の現状 改善には新規参入抑制が必要か>
――建設業者が多すぎる、という声が聞かれます。この点についてはいかがでしょうか。
梅林 建設業への許可基準を厳しくしてほしいと思います。建設業は許可制度が敷かれていますが、実際には申請したらほとんどの場合で許可がおります。企業の数自体はピーク時と大して変わらないのですが、一社ごとの規模が明らかに小さくなってしまっているのです。工事の量はピーク時に比べて52%程度まで下がっています。工事量は半分なのに企業数は変わらないし、就業者数も変わっていません。これではどうやって食べていけというのでしょう。大分県では全産業で53万人の労働力があります。そのうちのおよそ5万人が建設業に携わっています。構造的な変革がなくてはならないと思います。
――新規参入を抑制すべきということですか。
梅林 建設業は他業種と色合いを異にします。デパートで買い物をするときにはそこに品物がありますから、手にとって目で見て価格に見合うかどうか考えることができますし、買ってみて気に入らなかったら次は別の商品を選ぶことができます。けれども建設業はできあがったものを想像して買ってもらわなくてはならないのです。その上、税金を使っていただくので、ニーズに対して120%の満足を得なくてはならない責任があります。公共財をつくるということは、その責任があるということなのです。その国民の負託に応えるためには実績や技術がなくてはならないと思います。施工管理技士がいるから許可を出すというのではなくて、企業のトータルの姿を見て判断することが発注者側には求められていると思います。
永野 建設業以外には失業対策や雇用対策が間髪入れずになされます。けれども建設業には何もありません。数年来新事業、たとえば農業へ参入せよと言われていますが、農業にしても他の産業にしても、それぞれプロフェッショナルの領域です。重機があるからできるというものでは決してありません。公共投資が半減するから他の分野へ行けというのは、あまりにも乱暴です。結局、建設業者は建設しかできず、1社倒産したならば、そこの社員たちが数社新たに立ち上げるという状態が過供給という現状を生み出しているのでしょう。これまでに建設業界が貢献してきたことも踏まえたうえで、貢献してきた企業をないがしろにしない施策をとってもらいたいです。
<出席者> | |||
大分県建設業協会 梅林秀伍会長 |
長崎県建設業協会 谷村隆三会長 |
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宮崎県建設業協会 永野征四郎会長 |
鹿児島県建設業協会 川畑俊彦会長 |
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