3.リコールは良い傾向
本連載の冒頭で触れたが、現在、阿久根市では市民団体「阿久根市長リコール準備委員会」が竹原氏に対するリコールのための準備を行なっており、17日にも署名活動が開始される見通しだ。リコールでは、有権者の3分の1の署名が集まれば、次に住民投票が行なわれ、ここで過半数を取ると竹原氏は市長の職を解かれる。
こうした動きに対し、竹原氏はむしろ「いい感じだと思う。もし、市長がダメならすぐ住民が立ち上がってリコールをする。そういう環境は必要だ」「市長がいつも市民を意識しながら仕事をすることが大事」と話す。
市民一人ひとりが政治に対する関心と責任を持てば、選らばれる政治家の質が上がり、選ばれた後も結果責任が求められる。そもそも地方自治法によって、首長のみならず議会の解散請求も市民の権利として認められているのである。その権利の行使を『異例』と捉える風潮に、むしろ疑問を抱かなければならない。
さらに、竹原氏は「地方議会はいらない」とする。既得権益の確保のため、役人(市職員、警察)と議員、さらにはマスコミが結束し、市長と住民を監視するシステム。それが阿久根市の実態であるという。
また、国や地方を問わず、組織で票が動く選挙、個人ではなく党単位で議決される議会の姿を見ていると、硬直化した現在の政治体制に風穴を開けるには、強引なやり方が必要とさえ感じてしまう。
竹原氏は、1度、市議会の不信任決議で失職しているが、2009年5月、出直し市長選で当選(投票率は82.59%)している。阿久根市議会においても、市長派の議員は4人。現在、メディアが伝えているような「暴君」「独裁者」といったイメージと実態はかけ離れているように感じる。
【山下 康太】
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