<書籍名不明の領収書>
今回、取り上げるのは、福岡県議会議員・井上敏和氏(民主・県政クラブ)が提出した収支報告書の一部である。同氏は、当たり前のことだが、ほぼすべての報告書に政務調査費の用途を書き込んでいた。しかし、問題の報告書(※1)には、「書籍購入費」にチェックがつけてあるほかには、詳細に関する記述が見当たらない。つまり、何の本なのかが不明のまま提出されていたのである。
書店に問い合わせたところ、同氏が購入したのは、(株)大日本絵画が出版する『パンツァーファイル 2009年度版 WWIIドイツ軍用車両モデルカタログ』(アートボックス・編)であった。同氏にこの書籍の購入理由を確認したところ、以下の内容のコメントが得られた。
「そうです、(その書籍は)私が個人的に買ったものです。本来、収支報告書に添付して提出する領収書は一カ所にまとめているのですが、間違えてプライベートで購入した書籍の領収書が紛れ込んでしまったようです。これは、私の管理不足です。提出する前に行なうべきだった確認も怠っていました。政務調査費の問題に関する報道を見聞きし、私の提出した収支報告書についても、改めて確認しなければならないとは思っていましたが、時間がなかったためできませんでした。今回の件については、こちらのほうでもしっかりと確認させていただき、返金の手続きを踏みたいと思います」。
さらに、同氏が「書籍購入費」の名目で提出した領収書のなかには、ほかに書籍番号が記入されていない手書きの領収書(※2)も存在していた。同氏によると、何を買ったかは覚えていないという。
つまり、同氏は、何の本を買ったのか分からない複数の領収書を、確認もせずに提出した、ということになる。また、『使途不明の領収書』に対し、決済した会派代表者の監督責任も問われる。公金に対する認識の低さを痛感せざるを得ない。
*記事へのご意見はこちら