―竹原市長反対派の議員については、どうお考えですか。
仙波 断言します。阿久根が「第2の夕張」になるまでは、反対派の議員の方々は心変わりすることはないでしょう。竹原市長は、誰よりも阿久根の危機というものをわかっているんです。子供や孫の時代になって、今よりも借金が増えていたのでは大変だ、と。しかし、なぜ反対派の議員の方々は、それを理解して一緒に動こうとしないのか。このままでは、阿久根はつぶれてしまいます。
―反対派の議員の方々は、どのように言っているのですか。
仙波 そもそも、私が礼を尽くしてお会いしたいと言っても、それすらも拒否する議員が多いんです。10人のなかの7人とは、いまだに会っていません。3人とはお会いしましたが、そのうちの1人などは、こんなことを言っていました。「仙波さん、国からお金をもらったらいいんだよ」、「県からお金をもらったらいいんだよ」と。国や県のお金は、全て税金です。もらえばもらうほど、国や県の借金が増えるんです。自治体から借金を減らしていこうと考えるなら、やはり自分たちが骨を切って血を流さなければいけない。自らの既得権益を守ることしか考えていない議員が、いまだにいるんですよ。
―今後は、人件費の削減などに取り組んでいくということですか。
仙波 本当は、人件費に関しても、職員の方々が「これでは駄目だ」と言ってくれるのを待ちたいんです。しかし、それでも言ってくれないときには、こちらから提案していきます。将来的には20%減まで持っていきたいと思っているのですが、これを竹原市長は瞬時にやろうとしている。でも、それではさすがに酷ですから、いくらか年数をかけて、それでも他の自治体よりは早く、市民の方々に20%減までは理解をしていただきたいと思っています。
―他にも、これに取り組んでいきたい、ということはありますか。
仙波 もちろん、この市役所における行政改革のなかで最も大事なことは人員の削減です。今は240名の職員がいますが、私は120名で十分だと考えています。民間の方が1円のお金を稼ぐためにどれだけの汗を流しているのか、職員の方々にも感じてほしい。そして、そうやって市役所をスリムにした結果として出てきた人件費は、市民の皆さんに使っていただく、と。これが最終目標ですね。ですから、今は現職の職員に案を作らせているところです。
―あくまで、自発的な方向で持っていきたい、ということですね。
仙波 そういうことです。職員の方々が自発的に動くようになってくれれば、もう私は阿久根には必要ありませんから、そのときは愛媛に帰るつもりです。
【文・構成 原薗裕樹】
<プロフィール>
仙波 敏郎(せんば としろう)
1949(昭和24)年2月14日愛媛生まれ。愛媛県立松山東高等学校卒。67年、愛媛県警察官採用試験に満点で合格し、採用後最初の試験でもトップの成績を収める。73年には同期で最も早く巡査部長昇任試験に合格するも、裏金作りに必要として上司から依頼された偽領収書の作成を拒否。以後、定年まで巡査部長の階級に留まることになる。05年、現職の警官としては初めて裏金問題を告発。定年退職後は、裏金問題についての講演活動を行なう。10年7月、阿久根市長・竹原氏の専決によって同市の副市長に選任され、8月2日に就任した。著書に「現職警官『裏金』内部告発」(講談社)がある。
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