23日昼、炎天下のなか、11月14日に投開票が行なわれる福岡市長選に、立候補の意思を表明した元佐賀市長・木下敏之氏(50)が本格始動。福岡市役所前で、今回初となる街頭演説を行なった。
木下氏は、まず「この福岡市は全九州にとって特別なまち、全九州の発展にとってこの福岡がもっともっと発展していく、その力を持っていながら、この12年間停滞している。その状況を何とかしたい」と、立候補する動機を説明。その後、自身の経歴やビジョン、またビジョンを実現するための政策について説明した。
現状の課題として木下氏は「若者人口の減少」と「アジアの拠点都市としての実態がないこと」をあげる。人口問題の分析をベースとした政策の立案が得意という同氏は、福岡発展の基礎であった人口構造が崩れていると指摘。後者については、借金返済のための緊縮財政により、地理的優位性が活かしきれていないとした。
また、2030年までのビジョン「アジアを中心とした世界の人々が働くまち福岡」については、次の3つの政策をあげる。(1)法人税・住民税の減免によるアジア統括本部の誘致(支店経済からの脱却)、(2)観光港、産業港としてのウォーターフロントの整備、(3)新しい福祉・教育の展開(現状分析に基づいた待機児童の解消、リファイン建築による低コスト・バリアフリー化)など。
また、佐賀市長時代や事業仕分けにおける経験を活かし、徹底して市役所のムダを削減すると訴えた。例として、市役所の地下駐車場にある22台の公用車の撤廃、「トップから模範を示す」とした。こども病院については、九州大学箱崎跡地への移転、リファイン建築方式による現地建て替えと、ふたつの案を示した。
市役所前ということで、木下氏は市役所の職員に対してもメッセージを送った。
「これまでの12年間、市役所のみなさんが市民のためになるアイディアを提案できなかったことを無念に思っている人が多いのではないでしょうか。これから検討する公約のなかには、日本で初めて打ち出すプランもいくつかある。私は公務員の仕事の見方は厳しいが、ギリギリまで働き、成果を出し、市民からほめられる。これは公務員にとって何物にも換えがたい喜びではないか。ぜひ、市役所職員のみなさんの積極的なアイディアを頂いて、活力を引き出す行政を展開したい。『市民のために働きたい』『新しいアイディアを出したい』と思う職員は、一緒に働こうではありませんか」(木下氏)。
演説の最後、「政治家として約束を守れなかった場合は、きちんと責任をとる」と明言した木下氏。今後、積極的に街頭演説を展開していくとしており、知名度アップに努めるという。なお、福岡市長選には、現職の吉田宏市長(53)、前市教育長の植木とみ子氏(61)、共産党推薦の西福岡・糸島民主商工会事務局長の有馬精一氏(59)が立候補を表明している。
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