4.こども病院移転
吉田市政に対し、最も批判が多いのが「こども病院の移転」である。現在も市民団体による反対運動が続けられているのは周知の事実。また11月14日に投開票が行なわれる次の福岡市長選においても、吉田市長以外の立候補予定者が「見直し」または「反対」の考えを示している。4年間の吉田市政をはさみ、再び選挙の争点となるだろう。
問題点のひとつは、こども病院の移転について、吉田市長の負託を受けて検証を行なったのが「アイランドシティ事業検証・検討チーム会議」であること。同会議の目的のひとつは「アイランドシティの価値を高め、まちづくりや土地処分を効率的、効果的に促進する方策」を検討すること。メンバーは、座長のツル川副市長(ツルは雨冠に隹と鳥)のほか、総務企画局理事、総務部長、企画調整部長ら市幹部で構成されていた。
市民からは、検討・検証内容を公開した行為について、ある程度の評価は得たものの、「市長と遊離した市長部局で考えている」「移転統合ありきの検証・検討に反対」「市長が先頭になって市民が自由に意見をいえる場を作って欲しい」との意見が寄せられた。なかには、「都合のよいところのみをピックアップしている」との批判もあった(※1)。
「見直す」として当選した吉田市長。しかし、誠心誠意取り組んだとはとても思えない。一例をあげると、08年7月10日に開かれた、移転に関する市民説明会では「専門家に任せる」と、市職員の担当者を行かせて市長自身は出席しなかった。市民の代表者である市長として無責任としか言いようがない。
また同問題には、市民から訴訟を起こされた、現地建替え費用見積額を記したメモの紛失事件が大きな影を落とす。当初、東京本社の業者が出した見積額は85億円。これをゼネコン3社に見せたところ、「実際は1.5倍くらいが妥当」として128億円の見積額が示された。このゼネコンとのやり取りを記したメモを担当職員が紛失。そして何ら根拠のない数字だけが残った。にもかかわらず、現地建替えには移転よりも多額の費用がかかるとされたのである。
メモ事件については、問題の総括(関連リンク参照)でも「極めて遺憾」とするものの、「検察の不起訴処分と検察審査会の不起訴相当処分をもって落着したと判断される」としている。
※1 引用元:2007年11月「アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業検証・検討 結果報告へのご意見等一覧」
▼関連リンク
公約概ね達成?~市民認識とかい離した吉田市政4年の総括
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