カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)代表の大谷賢二氏は、ちょうど学生時代に体験したベトナム反戦運動を経て、現在はカンボジアで地雷撤去や地雷被害者の救済、学校建設などの活動を寄付金や支援金をもとに行なっている。対する(株)ワイエルインベスト代表取締役社長の山本亮氏は、前職の原木輸入業者を経て、インドネシアのスマトラ島に広がる干潟にマングローブを植林。そこから生まれるCO2排出権の取引で得た資金を再度植林事業に還元し、永続的な植林活動のために奮起している。世界でボランティアを行なっている両氏に"真のボランティアについて、日本が今後しなければならないこと"というテーマを中心に、対談をしていただいた。
―まずは、それぞれの自己紹介からお願いします。
大谷 カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)は、13年前に私1人で立ち上げました。1960年代から75年4月まで続いたベトナム戦争が、私の学生時代にちょうど重なっていたのです。九州大学を卒業する年に戦争が終わりましたが、その少し前の68年6月2日、九大箱崎キャンパスにアメリカの偵察機ファントムの墜落事故が起きました。それもあり、在学中はベトナム反戦や日中友好運動に取り組んでいました。こうしたことが、CMCの活動を始めた背景にあります。
大学卒業後、イベントや広告、印刷業の会社を経営していたとき、私は大きな事故を何度か経験しました。パラグライダーで約600mの高さから墜落したり、交通事故で1年7カ月入院したり。しかし、社員が頑張ってくれたので会社は成り立っていました。
そこから仕事にゆとりができ、学生時代に思い入れがあったベトナム・ラオス・カンボジアに行きました。とくにカンボジアに行ったとき、ものすごく衝撃を受けました。戦争で目が見えない、両足がないといった被害を受けた人がたくさんいたのです。現実は想像していたよりも切実だと強く感じました。
目のあたりにした現実をきっかけに、いろいろ調べて勉強しました。すると、1m×1mの土地の地雷撤去が当時の75セント、約100円で可能だと分かりました。さらに25ドル、約3,000円でカンボジアの地雷被害者に義足を提供できることが分かったのです。そのことが、私の考えを変えました。"日頃使っていたお金で、カンボジアで困っている人たちを助けることができる"と。ここからCMCの活動が始まりました。
最初はチャリティーなどで得たお金を、カンボジア現地で地雷撤去をする団体や義足をつくる団体に届けることしかできませんでした。そのうち、だんだんと支援の輪が広がり、現在では日本国内に10カ所の事務局ができました。実際に現地に拠点を置かなければより良いボランティアができないと分かり、2000年にカンボジアに現地事務所を設置しました。04年から、日本人を派遣し駐在させています。現地事務所と国内事務局を連携させながら、より密接な活動を行なっています。
【文・構成:大根田康介、長嶋絵美】
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