熊本へ取材に行っている。昨年末、小説「火ノ国銀行」が出版されて、一部では肥後銀行の実話ではないのか、といった声まで聞かれた。それほど肥後銀行は熊本での信用を失墜してしまっているのか、と思い取材を深めてみたのだが、すぐに挫折してしまった。
「肥後銀行よりも問題は熊本ファミリー銀行(以下ファミリー銀行)ですよ」。
こんな声が聞かれたのだ。それも多数である。ファミリー銀行は2007年、福岡銀行を中心とした、ふくおかフィナンシャルグループに経営統合された。それ以後、ファミリー銀行は融資に厳しい姿勢で臨むようになったのだと言う。
肥後銀行の倫理が問われているなか、ファミリー銀行は乗り換え客獲得のチャンスを迎えている。もし、本当に貸し渋りや貸しはがしをしているのならば、この好機を逸してしまうことになるだろう。
ひとつの場所に権益が集中し、腐敗や汚職を招いてしまうことがある。それはごく一部の人間の利にはなりうるが、全体で計算すれば大きなマイナスを呼ぶことになりかねない。地域の活性化のために、絶大な力を持つ肥後銀行の対抗馬として、ぜひとも奮起していただきたい。
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