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特別取材

ディックスクロキ 配当妨害の裏側(2)~Regal Dispute 法的紛争に晒される中小企業
特別取材
2010年9月 2日 10:44

<1億3,066万円の支払いが先だ!>

 「追加弁済の停止と当行に対する賠償金の支払いを求める意見書」は、福岡銀行が民事再生事件の監督委員である植田弁護士に提出したものであり、以下のような内容であった。

(1)ディックスクロキは、09年9月9日に法人税還付金3億3,857万円を受けていながら、そのことを福岡銀行や折衝担当のふくおか債権回収(福岡フィナンシャルグループ(FFG)のサービサー)に説明しなかった。これは情報開示義務違反だ。

(2)そのことを知らずに、福岡銀行は12月29日にFCP10(FFG内の福岡キャピタルパートナーズ(FCP)が組成するファンド)に債権譲渡してしまった。本来なら3億3,857万円×32.4%(全確定債権に占める福岡銀行の債権の割合)=1億966万円の弁済を受けられるはずであり、損害が生じている。

(3)同時期、根抵当不動産の売却に際して、売却代金のうち2,100万円の財団組入れを認めたが、これも還付金の存在を知っていたら認めていなかった。そこでも損害が生じている。

(4)情報開示義務違反により損害が生じたのだから、債務不履行ないし不法行為(民法415条、710条、会社法350条)に基づいて1億966万円+2,000万円=1億3,066万円の損害賠償請求権を福岡銀行は持っている。以上は再生手続後に生じた債権(共益債権)だから、他の債権者よりも優先する。

(5)監督委員は7月30日に予定されている追加弁済を停止させ、賠償金の支払いを優先させるようディックスクロキに監督・指導するよう要請する。

 要は、還付金の存在を知らされないまま債権譲渡してしまい、差額分+αの損害が出たのだから、他の債権者に追加弁済する前に福岡銀行に1億3,066万円支払え、という内容である。

(つづく)

【田口 芳州】

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