大谷 今まで仕事で伐採されてきたのは、どのような木ですか。
山本 世界各国の針葉樹から広葉樹まで、たくさん伐採してきました。日本は森が豊かで綺麗な水も流れていますが、一方で海外の森林が犠牲になっていることは自覚しないといけません。
今の人口を地球が賄えるのは1980年代が最後でした。そのときの人口が約45億人ほどですが、今は70億人に達しようとしています。人口の爆発的な増加によって、人びとの生活向上のために自然環境を悪化させているのです。
大谷 山本社長が前職で手掛けていたような原木の伐採は、日本のどこかの会社が代わって行なっているのではないですか。
山本 そうですね。たとえば現地では、日系企業がマングローブを倒してエビ養殖を行なっています。実は、インドネシアからのエビ輸入量が世界で最も多いのが日本です。その養殖エビの餌に抗生物質などを混ぜるため、エビ養殖をする池が5年でダメになってしまいました。その繰り返しで、ジャワ島のスラバヤ付近の池の多くが廃池となってしまいました。また、木炭なども日本が買い取っているわけですから、間接的でもやはり日本が海外の山をハゲ山にしているのは間違いありません。
昔はマングローブがたくさんあり、そこで細々ながらエビやカニがとれていたわけですが、人間が文明の力を使って自分たちの生活を一時的に豊かにしたのです。しかし、それもすぐにダメになってしまい、次の土地を求めて自然を破壊するという悪循環がずっと続いています。これを何とかくい止めなければなりません。
ある林業研究者が、「木は立っていれば30倍の価値があるのに、切ってしまって市場に流通したときには価値が30分の1に減ってしまう」と言っていました。ですから、「木を切るよりも止めた方がプラスになる」という経済的な仕組みを構築していかなといけないんですがね。立っている木そのものを価値あるものにしていかなければならない、と考えています。
大谷 資源を根絶やしにしている状態ですね。奪う部分と生まれてくる部分のバランスが取れていれば、何の問題もないのですけどね。
【文・構成:大根田康介、長嶋絵美】
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