<弁護士バトルの様相も>
「追加弁済の停止と当行に対する賠償金の支払いを求める意見書」にあるように、「ディックスクロキの背信行為の責任追及をしたいので追加弁済を停止してくれ」という福岡銀行側の主張それ自体は、(適否は別として)理解できる。また、その延長線上に黒木氏を含めた同社役員の責任追及があり得ることも、自然の流れと言える。
しかし、本意見書は責任追及の対象をさらに広げている点で、特徴的であった。以下、意見書の最後の部分を引用する。
つまり、追加弁済停止と賠償金支払いの要望が通らなければ、ディックスクロキ側の弁護士の責任追及も辞さないという内容である。今回の件では、福岡銀行・ディックスクロキの双方に弁護士がついているが、通常、弁護士が相手側弁護士の法的責任まで追及するケースは滅多にない。狭い弁護士業界内の悪しき慣習ではあるが、今回は敢えてそこに踏み込んでおり、福岡銀行側弁護団の強硬な姿勢が見て取れる。
ちなみに弁護士は、福岡銀行側が藤原総一郎氏、稲生隆浩氏、矢田悠氏、ディックスクロキ側が伊達健太郎氏、森豊氏、安部光壱氏。なかでも、藤原総一郎氏は全国的にも有名なヤリ手弁護士であり、伊達健太郎氏は元・福岡県弁護士会副会長の経歴を持つ。本意見書は、弁護士同士のつばぜり合いの様相をも呈していた。
【田口 芳州】
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