劉 剛
「十全十美」とは、中国固有の表現で「完全無欠で申し分がない」という意味です。したがって、近々訪れる2010年10月10日は、語呂が非常に良く、今年、結婚する上で一番めでたい日付になっています。
さらに、ちょうどその日が、親戚や友人が結婚披露宴に来やすい日曜日ということもあって、数多くのカップルが10月10日に結婚しようとしており、披露宴会場となるホテルのみならず、行政機関も特別な対応に迫られています。
<休み返上の行政機関>
結婚登録を取り扱う上海市政府民政局の婚姻管理部門は、婚姻登録に便宜を図るため、今年の10月10日、すべての出先機関で休みを返上。通常通り業務を行なうと告知しています。
実際に、各出先機関からのデータをまとめたところ、事前に電話やネットを通じて、同日の登録予約人数がもう数百組にのぼっています。「私たちは万全の準備を整え、10月10日に婚姻登録数の新記録を達成できるよう頑張ります」と、徐汇区婚姻登録センターの責任者は語っています。
<披露宴の予約状況は好調>
一方、ある新聞記者が調査したところ、上海市内16カ所の四つ星以上のホテルレストランでは10月10日、すべての披露宴会場が予約済みになっていることが判明しました。
そのなかのひとつ、「浦東華美達花廷ホテル」の営業担当によると、当日夜、4組の結婚披露宴が同時に開催される予定です。それらの披露宴では、それぞれ80余りの招待客グループが訪れることになっており、ひとつのグループは少なくとも10人。延べ800人を超える盛大な会になると予想しています。さらに、すでに満杯になっているにも関わらず、予約希望の電話がかかってくるそうです。
また、好景気に乗って、各レストランでは相次いで値上げに踏み切っています。「瑞金賓館」は、ひと組の料理を1万円ほど値上げ。「虹橋賓館」では、別に15%のサービス料金を徴収する計画を立てています。
そうした値上げがあっても、結婚を予定しているカップルは、躊躇(ちゅうちょ)なく披露宴の段取りを進めているそうです。「一生に一回。よい日(10年10日10日)なりの値段だ」とある花婿は納得しています。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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