6日、福岡市長選への出馬を正式に表明した、元KBCアナウンサー・高島宗一郎氏は、記者からの質問のなかで、人工島事業およびこども病院移転について「推進する」との考えを示した。これらのテーマは、他の立候補予定者のほとんどが「再検討」を主張しており、同市長選で争点となるのは必至だ。
その一方で高島氏は、透明性が疑われる状況でこれらの事業が進められてきた経緯を問題視している。会見で同氏は、特にこども病院移転費用の見積もりにおけるメモ紛失事件に「怒りを覚えた」と語った。
同事件の概要は以下の通りだ。多額の費用をかけて依頼した東京のコンサルタント会社が、現地建て替え費用を約85億円と算出。市は、さらに地元のゼネコン3社に電話で問い合わせ、「実際は、1.5倍になる」と確認。しかし、このやり取りについて"メモした紙を紛失した"としている。にもかかわらず、言わば「根拠のない見積もり額約128億円」を提示。移転する場合の費用・約100億円よりも高いとして、移転推進の根拠にしていたもの。
NET-IBニュースでは、政策決定過程がまるで見えないことを吉田市政の特徴のひとつとして指摘してきた。
元新聞記者である当の福岡市長・吉田宏氏は、06年市長選のマニフェスト討論会で「市民の知らないところで、ものごとが決まるのはおかしい」と言い切り、政策決定過程をオープンにすると訴えていた事実も付記しておかなければならない。
「徹底した情報公開による尊敬される政治」を目指すとしている高島氏が参戦したことで、市政の情報公開のあり方も選挙の争点となるだろう。現職・吉田氏と同じマスコミ出身者として、高島氏はどのような訴えをしていくのだろうか。
▼関連リンク
こども病院 吉田市長の背信(吉田市政の検証7) ※2009年12月22日更新
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら