劉 剛
上海では、たいてい結婚披露宴を夜に開きます。しかし、今年はもうひとつの「10」の幸運を重ねようと、2010年10月10日午前10時に披露宴パーティーを催すことも企画されています。
たとえば、「錦江飯店」では、当日、昼2回と夜3回、結婚披露宴が行われます。「10月10日は今年一年で最も忙しい日になりそうだ」と、レストランの責任者は、今から張り切っているようです。
<アクセサリーの売上が激増>
上海婚礼博覧会組織委員会の調査によると、結婚目前カップルのアクセサリーにおける平均支出が3万8,000人民元(約49万4,000円〈1人民元=約13円〉)になり、前年(2009年)比で37%アップしています。
また、アクセサリー購入時の優先要素が「ブランド」、「デザイン」、「価格」などであることも同調査で明らかになりました。「ブランド品は、クオリティーに優れているほか、個性やアフター・サービスも満足できる」と高い評価を浴びているそうです。そして、「ブランド志向」はますます顕著になりつつあります。
数あるブランドのなか、地元の人々が愛されているのは「老鳳祥」です。同社は去年プラチナ・アクセサリーだけで、10億人民元(約130億円)以上の売上高を実現しました。そのうち大部分が結婚祝い用です。
<婚礼市場の未来>
過去10年間、毎年平均912万組のカップルが縁を結ぶことになり、巨大な婚礼消費市場を形成しました。中国全土で09年、結婚関連における消費が6,000億人民元であったとの試算があります。
日本に例えると、中国の現状は、日本の80年代末から90年代頭の市況に近く、業界自身が大規模化するなど、拡大・再編にまで発展しているようです。
消費者は、婚礼写真の撮影、宴会の開催やドレスの注文など、さまざまな会社を走り回り、予算と効果のバランスを取るよう苦心しています。そうした状況を踏まえれば、今後は、一度にすべての準備が整うワンストップサービスが提供できる会社の誕生を望む声が、市場で高まるのではないでしょうか。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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