銀行法違反(検査忌避)容疑で警視庁の強制捜査を受けた日本振興銀行は、2010年9月中間決算で1,500億円規模の債務超過に陥る恐れがあり自力再建を断念、金融庁に破綻申請する方針を固めた。
これにともない、同庁は経営破綻と認定し、預金を一定額までしか保護しないペイオフを初めて発動する見込みである。
同行は、一般の銀行とは異なり、取り扱う預金種類が定期預金だけであり、当座預金や普通預金は扱っていない。このため、ペイオフに踏み切っても影響は小さいと業界では見ている。
設立当初は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の中小企業を対象に無担保で第三者保証不要の融資を主に手掛けていくが、一般の銀行に比べて高金利とされている。
各店舗に便宜上支店コードは付加されているものの、口座店は千代田区神田司町の本店1店舗のみである。なお、普通預金を扱っていない関係からか、全銀システムには加盟していない。
2005年1月1日、取締役の辞任が相次ぐなか、創業メンバーで、取締役会議長(社外取締役)の木村剛が自ら社長に就任したが(その後取締役会長)、10年4月30日金融庁より銀行法に基づく報告命令が出され、同年5月10日取締役会長を辞任している。
同年5月27日金融庁より行政処分を受け、7月14日木村元取締役会長ら元役員が銀行法違反(検査忌避)容疑で逮捕されている。
【久米一郎】
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