山本 ただ、日本の親の世代は「そうした教育をしてくれてありがとう」ではなく、「よその国の子どものことまで教えなくていい」と言う人もいます。そういう意味で、日本は大変な状況だと思います。
大谷 私のまわりは、幸い協力的な人が多いですね。子どもたちがまず自分で考えて動いて、先生に報告するのはその途中です。話を聞いた先生たちが「いいことを考えたね。私たちにも手伝えることがあれば教えてね」と言ってくれます。また、子どもたちが家に帰って両親にそういう話をしますから、どんどん輪が広がっていって地域ぐるみの支援体制ができていきました。
たとえば粕屋西小学校では、カンボジアの子どもたちが学校にも行けず農業を手伝っているということで、自分たちも農業を体験したいと、農協が持つ遊休地を借りて農協の方を指導員として呼び農業体験をしたそうです。そして、実際に収穫したお米を販売し寄付してくれました。これまでいくつもの学校の卒業式に呼ばれましたが、「呼びかけ」で私やCMCの名前が出てきたときには感動しましたね。
山本 かなりいい組織ができ上がっていますね。
大谷 世のなかには、地雷問題だけではなくいろいろな問題があります。「地雷のことにとらわれる必要はありません。何でもいいから自分で取り組むことを見つけて、継続してください」と子どもたちには伝えています。
前にも言いましたが、国からはいっさいお金をもらわない主義でやっています。もらうといろいろうるさいですからね。報告事項などが多すぎます。その代わり、我々はすべての情報を公開しています。
山本 日本が海外を援助しているなんて言っていますが、実際にはそのお金は必要なところにはまったく届いていないこともあります。政府関係者も「何とか協力したい」というものですから、「では協力してください」と言っても、結局はできません。本当に日本のODAは、他に何か方法がないですかね。
大谷 我々は民間の財団や企業などからは支援を受けていますが、きちんとした目的にお金を使って報告書を上げていますが、ODAほどの煩雑さはなく、我々を信頼してくれています。
【文・構成:大根田康介、長嶋絵美】
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