劉 剛
9月1日より投資総額1.1億人民元(日本円でおよそ1370億円)の小学校が開校され、蘇州という地名が頻繁に全国各新聞やテレビ番組に取り上げられています。
蘇州は上海より84kmほど北西にあり、上海から車で約1時間の距離です。面積は8,488km2で、2009年の人口統計によると人口は826万人です。蘇州の観光名所は寒山寺で、除夜に鳴る鐘のことは日本でもよく知られています。
<羨ましい新学校>
今回スポットが当てられているのは「蘇州相城区陽澄湖小学校」です。
午後4時、学校の放課後。ひとりの先生が、校門で下校する生徒の秩序を維持しています。16時10分、6台のエアコン付きの大型バスが相次いで校門のそばに並び、専用の送迎バスを利用して、先生は生徒たちを自宅まで送り届けます。
この小学校の敷地面積は、約4万4,000㎡です。食堂を含めて全部で7棟の教育施設があり、総建築面積は2万8,000㎡超になります。昔の「田泾小学校」から変身した「陽澄湖小学校」は面積拡大だけではなく、いろんなハードウエアの面で充実しています。
(1)運動場のコースが昔の「石炭の燃え殻作り」から「プラスチック製」へ
(2)校内すべての施設でインターネット対応が可能に
(3)30万人民元(約3,900万円)をかけ、模擬生態館を建設
(4)教室に黒板の代わりに、黒板やプロジェクターやテレビなどの機能を一体化した電子白板を設置
(5)舞台演出できる、600人が入れる大ホールを建設
(6)3階建ての付属幼稚園にセントラル・エアコンシステム、エレベーター、個室トイレ、サニー・ハウスなどを設置または建設
蘇州へ出稼ぎに来て8年目のドウさんは「自分の子供がこんな素晴らしい小学校で教育を受けることができるなんて、想像にもつきませんでした。しかも、費用は地元の子と同じで、非常に満足しています」と喜びの声。
蘇州の教育関係幹部は「子供たちに、よりよい教育を受けさせることは、保護者たちの希望でもあり、政府の責任でもあります」と語っています。
今年に入り、教育事業を優先させてきた蘇州。特に農村部学校の改善に重点を置いて、区域間の教育推進のバランスを取ったことで「全国義務教育均衡発展モデル地区」として、中央政府の教育部から表彰されました。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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