<相手の弱みにつけ込む>
河原 ある有識者によれば、フェロシルトは産廃物と呼べるような代物ではないという。つまり、放射能を発しているため、日本では簡単に処理できるようなものではなく、アメリカなどでしか処分できないそうだ。それが産廃物として登録されているのは問題だろう。
市は、住民にもきちんと説明しているという。一方で、愛州産業が持つ人脈の関係上、住民が文句を言えない状況とも聞いている。ただ、処理場が海の近くで漁業などにも支障をきたし始めているようで、そうしたこともあって当社に連絡が入ってきた。
こうしたことは、結局のところ経営者の倫理観の問題だと思う。単なるカネ儲けに走っている、事件性が高いという点で丸美の件と重なる部分がある。
鹿島 そういう人物は、人の心理を読むのがうまい。丸美について言えば、被害額が被害者のカネだけで33億円以上にも上った背景には、管理組合を通して見込み客がたくさんいたことが挙げられる。管理がなおざりになったら困るという面もあっただろう。配当も7%と10%という、おいしいけれど怪しくもない微妙なラインで設定されていた。いつでも解約していいという安心感を与える条項もあり、相手の心理をうまく利用していたと思う。
その点、日本リソースにしても、被害に遭った人自体が悪意を持たないような巧妙な方法で立ち回っている。同社の会長を務める麻生洋士氏が、今年5月に刑事告発を受けた。麻生氏が理事として入っていた九州フーズリサイクル協同組合におりた補助金をめぐって、「補助金適正化法」に違反していたようだ。
また、麻生氏は07年に受注金額が1億円を超えると言われる豪邸の自宅を建てた。ところが、約4割の建築工事代金が未払いとなっているため、施工会社から仮差し押さえをかけられた。
どちらも同社なりの言い分があるようだが、それを差し引いても社会的な責任が問われる事例だと言えるだろう。
児玉 愛州産業や日本リソースの例に見るように、時として背信行為をする経営者たちは人をだます人生を歩んできた。これが一番の悪であり、詐欺師とも言っていい。経営理念とかいう問題ではない。
大根田 最近はアマチュア詐欺も増えているように感じる。そうした案件での当社への相談も増えている。新事業を立ち上げるという名目で、カネを集めるだけ集めて何もアクションを起こさずカネの行方が分からなくなったり、企業に入りこんで法外なコンサルティング料をとったりというような人物もいるようだ。
もちろん、こうした詐欺まがいの経済事件は当社が追及していくべき問題のひとつだが、同時につけこまれてしまう経営者は脇が甘いとも感じている。裏事情を知らない一般人なら仕方ないが、少なくとも経営者は企業防衛のためにもっと情報に対してアンテナを張るべきだろう。情報感度が鈍い経営者が多ければ多いほど、詐欺事件を助長させてしまうからだ。
【文・構成:大根田 康介】
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