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特別取材

ディックスクロキ 配当妨害の裏側(5)~Regal Dispute 法的紛争に晒される中小企業
特別取材
2010年9月18日 08:00

<意見書は「ゆさぶり」?>

 仮に、意見書通りの要求に従えば追加弁済は遅れ、福岡銀行以外の債権者に対して支払える額が圧縮されてしまうことは確実である。場合によっては、民事再生から破産に移行する可能性もあり、そうした場合、債権者への配当は絶望的となってしまう。実際、監督委員は福岡銀行側の主張に沿って追加弁済を保留すべきとの判断を下しており、ディックスクロキ側は大きな混乱に陥ることとなった。

 ただ、先の意見書を検討してみると、幾つか腑に落ちない点も散見される。
福岡銀行本店 福岡銀行側は還付金の存在を知らされずに債権譲渡をしてしまったために損害が出たとするが、譲渡した先はFFGのグループ内のふくおかキャピタルパートナーズが組成したファンドFCP10である。賠償金を支払うとなると、賠償を受ける福岡銀行と追加弁済を受けるFCP10が同一グループ内で二重取りをする問題が生じる。
 仮に、グループ云々を無視し、福岡銀行とふくおかキャピタルパートナーズがあくまで別会社ということを貫いたとしても、損害額をはじき出すには還付金がある場合とない場合の譲渡額の算出と比較が必要となるはずだ。しかし、意見書には実際の譲渡額の記載が無く、これでは本当に損害が生じたかの検討が出来ない。
 さらに、銀行という職務の性質上、還付金額までの詳細な情報は無くともその存在は知りうるはずであり、これに基づいて譲渡額がきめられたはずである。債権の値踏みは金融機関の生命線といっても過言ではない。そこでの怠りによって生じた損害の尻拭いをディックスクロキ側に求めるのであれば、金融機関としての存在意義すら危ぶまれる。
 もちろん、黒木氏らが還付金の説明を怠ったことにも責められるべき点はあるが、それを考慮しても余りに無理筋な請求と言わざるを得ないものであった。

 本当に意見書の内容どおりの行動にでてくるのか?そもそも、かかる請求が高いモラルで知られている福岡銀行の本意なのか?周囲が首を傾げるなか、矢継ぎ早にもたらされたのは福岡銀行側からの和解の申し出であった。

(つづく)

【田口 芳州】

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