-それでは、まずセネガル共和国の教育の現状について教えて頂けますか。
バラス セネガル共和国で一番大事なモノを聞かれたとき、技術や他にも大切なモノはありましたが、私は一番大事なのは教育だと答えました。技術や政治などは、すべて教育が基になっています。また、教育があれば他に必要なモノを引っ張って持って来てくれるからです。
セネガルの都会では、教育に関して何の問題もありません。問題なのは田舎の 教育です。学校が足りていないのです。その理由は、金融的な問題もありますが、田舎の人たちの「学校に行きたい」というモチベーションが低いことも理由のひとつです。
―今、セネガルの田舎の子どもたちは学校に行ってないのですか。それとも、遠い学校まで通っているのですか。
バラス 両方のケースがありますね。なかには、全然学校に行ってない子もいますし、学校が遠くて行ってない子もいます。
―サラリーマン家庭と農家では、就学率の違いはありますか。
バラス はい、どちらかと言うと農家が低いですね。私とパパさん2人は、農家出身です。でも、今このように日本の大学で勉強出来ているのは、私の両親が、教育の大切さを知っていたし、私たち自身も勉強が好きだったんです。また、私は教育から得られるモノを知っていたので勉強を一生懸命しました。それでも、私の場合は、兄弟が5人いたのですが、私だけが教育を受けました。
データ上によると、民間部門の自営業を行なっている人が全体の53%です。政府関係の仕事をしている人は30%弱。
教育が高い人は、民間部門と政府関係の仕事に就きます。そのなかで、一番多いのは政府関係の仕事(公務員)です。
―日本では、農業を行なう若者が減っています。今、日本で農作物を作っているのはお年寄りばかりで、酷い所になってくると田んぼや畑が、そのまま放置されている状態です。
バラス セネガルでは、そのようなことないですよ。最近、セネガルの政府が農業に関するプロジェクトなどには助成金を出して、政府が若者に農業をやらせています。自ら、後を継ぐ若者も少なくありません。
-農業を行なう人のバランスは取れているのですか。また、農業を営むために大学まで行って勉強をする人はいるのですか。
バラス 農業を営むために勉強する人は、少ないです。
パパ もともとセネガルは、伝統的に農業の国なんです。70%の人が、農業を行なっています。しかしながら、たくさんの人が農業を行なっている割に、収穫量が少ないという問題を抱えています。原因は、技術と農業用機械の不足です。セネガルは山は少なく、土地が広い。農業用機械を使うと、広い面積の土地を田畑にすることができ、収穫時の人手も少なくてすみます。
この農業の問題とセネガルの教育の不足には、関係があるんです。たとえば、ひとつの家庭のなかで、子どもたちみんなを学校に通わせていると、家庭の農業を手伝う子どもがいなくなるんです。だから、1人か2人が学校に通い、残りの兄弟は家庭の農業の手伝いを行なっています。もし、農業用の機械が普及していれば、たぶん1人か2人で農業をすることができ、教育を受けれる子どもたちが増えます。さらに、農業で収穫できる量も増えてきます。
<プロフィール>
○ジャワラ・バラス(33歳)
セネガル共和国カオラク出身
セネガルの大学経済学部修士課を卒業
現在、九州大学経済学部経済システム専攻 博士課程
○サール・パパ(33歳)
セネガル共和国バンビ出身
2010年 九州大学農学部 卒業
現在、農業関連会社に勤務。
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