ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

最新金融情報

メインバンクの在り方を問う 西日本シティ銀行の無責任体質(上)
最新金融情報
2010年9月22日 11:17

 (株)泰泉閣(福岡県朝倉市、林恭一郎社長)は、福岡でも有数の歴史を誇る温泉地「原鶴温泉」の名門旅館として知られている。会社分割のスキームにより着実に再建の道を歩んでいるが、ここまでの道程は容易なものではなかった。なかでも、かつてメインバンクだった西日本シティ銀行の同社への対応において、その無責任さに驚かされる。これが「お客さまに一番近い銀行」を理念とする金融機関の実態なのか。

<西銀が紹介のコンサル会社>

泰泉閣 (株)泰泉閣は1949(昭和24)年創業の老舗旅館で、高度経済成長期の観光ブームの波に乗って成長を遂げた。92年の全国植木祭りの際に現天皇・皇后両陛下が宿泊したほどの名門旅館であり、「原鶴温泉・泰泉閣」のテレビCMは今なお人々の記憶に残っている。だがバブル経済崩壊後は、大分自動車道開通の影響や湯布院、黒川などの温泉地がメディアに頻繁に登場した影響などから、次第に苦戦を強いられるようになった。98年頃には15億円程度あった売上高も、04年には10億円を割り込むようになった。
 この04年頃から同社は、メインバンクである西日本シティ銀行杷木支店から、経営改善計画書を早期に作成し提出するよう求められだした。当時、同社は同行から約10億円の借り入れがあり、月々の返済は約2,000万円に上っていた。05年夏頃までは約定通りの返済を続けていたのだが、すでに新たな運転資金の借り入れができない状態だったことから、同行は経営改善計画書の提出を求めるようになったようだ。
 05年9月には、複数あった証書貸付けと手形貸付けの約5億円分を満期5カ月の手形に一本化した。これにより、手形の満期日までは返済額は約1,000万円に下がった。そして10月初旬に、杷木支店の融資課長から「財務の数字を作ってくれるコンサルタントがいるので紹介させてほしい」との申し出があり、そのコンサルタント会社D社と会うことになった。間を置かず、融資課長にともなわれてD社代表が泰泉閣を訪れ、同社はD社と顧問契約をすることになる。

<見放されるとの恐怖感>

 約5億円の手形の満期日は06年2月末であり、同行からはそのときまでに経営改善計画書を提出するように言われた。当時を振り返り、泰泉閣の林社長(当時常務)は「銀行が紹介するコンサルタントだから、そこに相談すれば良い案を出してくれるだろうという気持ちと、メインバンクから紹介されたコンサルタントを断ればその後の同行との取引に重大な影響が出るだろうとの恐怖感があった」という。こうしたことから、泰泉閣の経営陣は「一刻も早く顧問契約を締結しないと銀行の機嫌を損ねる。ひいては銀行との取引ができなくなり倒産してしまう」との判断からD社と契約を締結した。これが後に、泰泉閣とD社の訴訟にまで発展する。
 泰泉閣は、メインバンクからの紹介であるコンサルタントに従っておけば、06年2月には再び、銀行からの借り入れを含む04年以前のような取引ができるようになるだろうとの期待を持ちつつ、D社代表と経営改善策の策定に取り組んだ。ただ、この改善策は10年で売上が倍増し「V字回復」を達成するという滑稽なものだったという。だが、滑稽と思いつつも逆らってはいけないと思わされる出来事があった。
 05年12月に、林社長はD社代表の仲間内の忘年会に誘われた。このときにD社代表からT氏を紹介される。T氏からは中小企業診断士の名刺を渡されたので、独立した中小企業診断士だと思っていた。ところが後日、D社代表から「T氏は西日本シティ銀行の審査部の人間で、自分とは旧知の仲だ。後日紹介する」と言われ愕然とする。さらに、「実を言うとT氏は泰泉閣の担当者なので、06年2月の同行本部での説明会のときには同席するから、そのときはあくまで初対面のように振る舞うように」という指示までされた。
 このとき初めて、D社を泰泉閣に紹介したのはT氏ではなかったのかという疑念を持ったという。銀行本部のエリートで、泰泉閣の担当であり、「中小企業診断士」としても独立しているT氏と親しいD社との契約を続けなければ、同行に見放されてしまうと強く感じたそうだ。

(つづく)

【緒方 克美】


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

最新金融情報一覧
最新金融情報
2012年7月26日 10:24
最新金融情報
2012年1月 6日 09:57
発信!北九州
2011年9月16日 17:58
最新金融情報
2011年9月15日 13:03
最新金融情報
2011年8月16日 13:30
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル