―理想を言えば、学校だけではなく機械もあれば、子どもたちが学校へ行く機会が増えるのですね。
パパ そうです。また、収穫した農作物を販売することで収入を得ることが出来ます。そのお金で、教科書や文房具を買うことができるのです。
パパ 小学校を卒業しても、自分の村に中学校がないと、遠くの中学校に通うために、12歳や13歳で親元を離れ、学校近くに住む誰かの家庭で生活しないといけません。
すると、やはりホームシックになったりするので勉強に専念できません。農業をもっと効率良く出来たら、自分の部屋を借りることが出来るのですが...。
私も、12歳から親元を離れて他の町で教育を受けました。私は、そこで本当に頑張りました。でも、周りの子どもたちは、たったの1年で学校を辞めていきました。教育を受けたくても、難しくて挫折してしまうのです。そう考えると、農業と教育はつながっているんです。
―セネガルの政府は、教育支援を行なっていますか。
パパ 政府は最近、学校を造ってくれていますが、全然足りていません。私の父は、村にある小学校の校長をしていました。その村では、毎年お金を集めて、小学校を建てました。それを政府が見て、この村は頑張っているからと助成金を出してくれました。
―セネガルの子どもたちの人口は、どのようになっているんですか。
バラス 日本とは違い、少子化にはなっていません。セネガルの人口構造はピラミッド型です。ピラミッドの一番大きい所が子どもたちです。
―平均でどのくらいの兄弟がいるんですか。
バラス 平均は大体8人です。
パパ その兄弟のなかで、アラビア語の教育を受ける人も、フランス語の教育を受ける人もいます。ひとつの家族のなかで、受ける教育が違います。
-その理由は。
パパ セネガルは、もともとフランスの植民地でした。その前は、イスラム教が入ってきました。だから、宗教を勉強するためにアラビアの教育を受けます。フランス語の教育を受ければ、政府関係の仕事には就けるのですが、セネガルの宗教を学べません。私の父は、私の兄弟全員がフランス語の教育を受けることをさせませんでした。それは、誰かがアラビア語の教育を受けると、兄弟内で宗教のことなどを教えることが出来るからです。
バラス ここ数年、日本で言うところの宗教的な幼稚園へ2歳のうちから子どもを行かせる親が増えています。
そして、6歳からフランス語の学校に通わせるのです。その際も、休みの日や祝日に宗教的な学校に行かせます。このような教育の流れが、主流になりつつあります。
パパ 私は、4歳から5歳の間にアラビア語の勉強をし、6歳からフランス語の勉強をしました。
-フランス語とアラビア語の違いで学校も違うのですか。
バラス フランス語の学校のほうが大きいですね。アラビア語の学校は、学生が多くないから建物はひとつです。さらに、最近はフランス語の教育をしている学校でも、ひとりぐらいアラビア語の教師がいます。
-小学校でも、アラビア語とフランス語で分かれるんですか。
パパ 小学校も、2つに分かれています。でも、最近になってフランス語の学校にアラビア語の教師がいる学校が多いです。また、「フランクアラブ」という学校もあります。その学校では、フランス語もアラビア語も一緒に教えています。
-宗教的には、みんなイスラム教なんですか。
バラス みんなではないです。大体95%がイスラム教。あとの5%が、キリスト教や伝統的宗教です。
24日、国際協力NGOフリーピースは結成式・『セネガルに学校を!!』というテーマで講演会を開催する。内容は、ジャワラ・バラス 博士を講師に招き、セネガルの都市部と農村部の格差や貧困問題。また、教科書代や制服代、給食などの経済的負担などで子どもたちを学校に行かせられない現状について講演を行なう。セネガルへの教育普及事業に協力したい、または興味がある人は、ぜひ参加してしみてはどうだろうか。
<プロフィール>
○ジャワラ・バラス(33歳)
セネガル共和国カオラク出身
セネガルの大学経済学部修士課を卒業
現在、九州大学経済学部経済システム専攻 博士課程
○サール・パパ(33歳)
セネガル共和国バンビ出身
2010年 九州大学農学部 卒業
現在、農業関連会社に勤務。
▼関連リンク
国際協力NGOフリーピースHP
※記事へのご意見はこちら