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メインバンクの在り方を問う 西日本シティ銀行の無責任体質(下)
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2010年9月23日 08:00

<コンサル会社と訴訟へ>

 06年2月には、経営改善計画書が作成された。きわめて楽観的なV字回復の計画書には、リスケジューリング(いわゆるリスケ)も含まれていた。V字回復を前提にしたものであり、現実味のないものだったが、自転車操業状態の同社にとっては魅力的なものに見えた。この改善計画書は同月、西日本シティ銀行に提出された。林社長は、この計画に沿って支払い予定が組み直され、経営再建のための実際の仕事が始まっていくと期待していたのだが、実際はそうはならなかった。同行からは改善計画書に対する評価は何も話してもらえず、冷やかな対応をされただけだった。当然、なかに含まれるリスケについても同行が合意してくれることはなかった。
 結果的に06年3月は、リスケのお願いに記載された返済予定と同額の400万円の返済となったが、これは今後の返済見通しも立たないなかで、同社の返済資力がその程度だったから、その金額に決まったとの感じだった。
 このように、改善計画書の提出は泰泉閣からすれば実質的に空振りに終わり、06年3月以降、同行からいつ一括返済を求められるかわからない状態となり、余剰資金が生じても、設備投資に使っていいものかどうかすら判断がつかない状況となった。同行からは06年5月頃には改めて、経営改善計画や財務状況の提出を求められるようになり、再びD社は華々しい再建策を策定した。当然、この再建案も銀行に認められることはなかった。
西日本シティ銀行 最終的に西日本シティ銀行が債権をサービサーに売却するまでこうした状態が続き、毎月の返済額はなし崩し的に決められるようなかたちだった。
 現在、同社とD社は、この間のコンサルフィーを巡って訴訟となっている。毎月の顧問料50万円とは別に、月々の返済額の減額分×3カ月分を成功報酬とするとの部分に関してだ。契約時に1,300万円を基準としており、そこからの減額分×3カ月である。D社は結果的に400万円に減額(泰泉閣と西日本シティ銀行で正式にリスケの契約が交わされたわけではない)されたとの理由で、その差額900万円×3カ月の2,700万円を要求している。
 リスケは借金額が減るものではなく、単なる先延ばしに過ぎない。月額顧問料と合わせて、約3,000万円のコンサルフィーは高すぎると思うが、係争中でもありこの部分は別の機会に譲る。問題は、メインバンクである西日本シティ銀行の関わり方だ。

<西銀は責任を感じないのか>

 デフレ不況が続くなかで、苦境にあえぐ中小企業が数多い。そうしたなかで、地方銀行に中小企業を支えるといった意識は年々薄らいでいるような気がしてならない。昔のように名物バンカーが活躍する時代ではないことは周知だが、中小企業にとってメインバンクは依然として生命線である。藁にもすがる気持ちで、メインバンクに助けを求める企業もいまだに多い。曲がりなりにも長年付き合ってきた銀行から、再建のために「紹介する」と言われれば、泰泉閣ならずとも期待感を抱くのは当然だろう。
 今回のケースの場合、コンサルフィーの金額の問題は置いておくにしても、紹介したコンサルタントが融資先を助ける役割を果たさなかったことに西日本シティ銀行は責任を感じないのだろうか。これが西日本シティ銀行の体質だとするならば、福銀の対抗軸として期待された銀行とは到底思えないのだが、皆さんはどう感じられるだろうか。

(了)

【緒方 克美】


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