「福岡の競売不動産情報サイト」という、ユニークにして福岡唯一のビジネスを展開する(株)ティーツーイー(T2e)。同社のサーズ恵美子社長は、26歳という年齢で若くして起業した。「大学卒業後、建設会社や不動産会社、大学の研究室に勤務していましたが、何かを自分でしたいという思いはずっとあり、何をなすべきか考えているとき、いろいろな矛盾に突き当たりました。そのなかで、不動産の価格情報がまったく世間に知られていないことに気づいたのです」。
それまで不動産業者の勘や経験で売買されていた不動産業界を見たとき、サーズ社長はその情報格差によって生じる損得の大きさに疑問を感じるとともに、ひとつのマーケットがあることに目をつけた。「たとえば3,000万円で買ったマンションが、隣では1,500万円に値引きされていたら大騒ぎになりますよね。そうならないように、チラシを見て数百円の儲けを考えることも大切ですが、数百万円単位で違う不動産のことについて勉強した方が、きっとこれからの人生に役立つと思います」。
同社のメイン事業はインターネット・システムの企画・制作。同社で開発した競売不動産情報サイトの運営はもとより、これまでにも多くの企業や大学、団体・組織のホームページ制作を手掛けてきた。創業時から現在まで一貫しているのは、志をひとつにした組織づくり。「もともと理念ありきで会社をつくりました。とにかく皆の力を1つの方向に合わせた事業をしたかったのです。商品は今のメンバーの能力を活かしたものを提供するようにしています」。
サーズ社長は、福岡の外国人居住者・観光客向けの月刊情報誌「FUKUOKA NOW」や無料観光地図「NOW MAP」を発行する(有)フクオカ・ナウではマネージャーを務めている。その観点から、現在の福岡について思うことを聞いた。「福岡は立地条件に恵まれていると思います。そして、そうであるがゆえに良くも悪しきものんびりしているようです。観光という点では、名所が少ないので特徴が掴みにくいですよね。たとえば海外からの観光客がツアーで初めて福岡に来た場合、リピーターになるかと言えば、現状では難しいのでは...。国内出張などでは『食事がおいしいから、もう一度福岡に来たい』という人はけっこういるのですが、相手が外国人観光客となると、そういった身近なサービスや価値観が切り離されて議論されているように感じます」。
10年以上、経営者として活動してきたなかで、今の地場経済にとって必要なことについて聞いた。「全国的にシンポジウムなども増え、意見や提言する場が増えてきたのはいいことだと思います。福岡もそうでしょうが、そのなかでよく『産学官連携』と言いますけれど、一番身近な『民』が含まれないため、自分のこととして置き換えることができにくいように思います。我々のような中小企業は『産』よりも『民』に入ってくると思います。『官』の人も組織から離れれば『民』になるはずですが、組織に入るとどうしても『官』の建前で事を進めてしまいます。『産学官+民』で、実行ありきのブレインストーミングをしっかりできる場が必要だと思います」。
【会社概要】
(株)ティーツーイー
代表者:サーズ 恵美子
所在地:福岡市中央区赤坂1-5-11-3F
設 立:2000年4月
資本金:1,000万円
連絡先:TEL 092-724-7200 FAX 092-724-7201
URL:http://www.t2e.org/
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