<福銀と西銀のリスケ対応状況>
10年6月末時点の対応状況は、【表2】の通り。両行とも、金融円滑化については、金融庁の指導により自行のホームページなどで貸し付け条件変更の実施状況、体制などについて明確に公表されてはいる。
09年12月末以降、四半期ごとに公表されているのは、申込み、実行、謝絶、審査中、取り下げ(いずれも件数・金額)である。福銀、西銀の融資残高からして、福銀の方が申込み件数、金額ともに多いのは理解できるが、謝絶、審査中、取り下げに係る件数、金額について、西銀が多いのには疑問が残る。
(※表はクリックで拡大します)
この公表数値で注目しなければならないのは、謝絶した顧客に対するアフターフォローだ。謝絶理由までは当局が求めていないため詳細は不詳だが、審査判断として、リスケをしても経営改善が見込めず返済見通しが立たないことが要因と思われる。
金融機関は、融資の時点ではそれなりに返済見通しについて自信を持って貸出判断を行なっている。企業業績は、景気変動などにより絶えず変化するのは当然である。最近の金融機関の行動からすると、謝絶した顧客に対しては、回収促進、保全強化策などに走り、地域金融機関として地場中小企業育成からはかけ離れた行動をとることになるのかと思うと、非常に嘆かわしいことである。
(了)
【柳 憲一郎】
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