<好調な事業推移業績予想の上方修正>
(株)シノケングループは、前連結会計年度より複数の金融機関からの融資によって土地および完成物件の仕入を再開、販売面においては投資用マンション販売事業が計画を大きく上回る販売実績を上げた。また、投資用アパート販売事業においても当初計画を上回る受注状況となるなど、主力の「不動産販売事業」においても計画を大幅に上回る業績が見込まれる。さらに、「不動産管理事業」、「ファイナンス事業」および「その他の事業」のストック型事業のおいても計画通りに推移しており、2010年12月期の連結業績予想は、前回予想値を大幅に上回る見通しとなった。詳細については、別表「2010年12月期連結業績予想の修正」を参照。
これにより、通期の売上高は前回予想より20億円増加の185億円となる見通しである。利益面についても、売上高が前回予想値より上回ることに加え、適切な原価管理による売上総利益率の向上と、販売費と一般管理費の削減効果によるコスト管理の相乗効果により、営業利益は前回予想より5億円増加の12億5,000万円、経常利益は前回予想より4億円増加の8億円、当期純利益は1億8,000万円増の4億2,000万円を見込んでいる。
<日本振興銀行との取引経緯>
同社と日本振興銀行(以下、振興銀)との取引が開始されたのは、09年7月のこと。当時は不動産市況の低迷が続いており、同社の業況もまた低迷し、不動産販売事業が不振を極めていた時期である。
同社の振興銀からの借入は、09年12月末時点では45億円で、同社の総借入残高119億円に占める割合は38%であった。しかし、10年6月末には振興銀からの借入74億円となり、同社の総借入残高129億円に占める割合は57%を占めるまでに急増している。
通常、金融機関の融資スタンスから言えば、取引開始後わずか1年で断トツのメインとなることは常識では考えられない。しかし、振興銀以外の金融機関が融資に消極的であったこととは裏腹に、振興銀は融資シェアを高めていったのである。
同社の説明では、振興銀からの借入金利は長期資金で5%、短期資金は4%に近い、非常に高い水準であったとしている。しかし、同社としては、その高い金利を度外視してでも資金調達せざるを得なかった現実があった。
その一方で、地元福岡銀行は09年12月末14億円あった貸出残高を、10年6月末には8億円とするなど、6億円の回収を図ったのである。同グループにとっては、取引金融機関が融資に消極的であったのとは正反対に、借入金利は高かったものの振興銀が資金調達に大いに貢献したことは否定できない。振興銀行にとっては、「中小企業育成」という大義名分を、いちおう果たしたかたちにはなる。
なお、同社が保有していた振興銀株3億3,500万円については、同行の破綻を受けて今期全額を評価損に計上予定である。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら