7人中6人が「ツイッター」を活用するなど、積極的にネット上での選挙活動を展開している福岡市長選。そのなかで公式HP開設が8月10日と、少し出遅れた感のあるのが現職・吉田宏氏だ。
公式HPにはインタビュー動画やブログなど、市民へ向けたメッセージが盛りだくさん。しかしながら、まだ立ち上げたばかりであり、検索エンジンで検索しても上位に表示されない。そうした出遅れを挽回する、とっておきのネット戦略を吉田陣営は繰り出した。それが、グーグルの「スポンサーリンク」の活用である。
<公職選挙法違反の懸念>
確認できただけでも「吉田宏」「福岡市長」「福岡市長選」のキーワードでグーグル検索すると、吉田氏の公式HPが一番上か横に表示される(30日15時の時点で確認)。これは広告主のHPリンクがクリックされる度に課金されるれっきとした有料広告だ。
公職選挙法(以下、公選法)では、公職にある者だけではなく選挙に出ようとする候補者においても、あいさつを目的とする有料広告が禁止されている。
総務省および福岡市選挙管理委員会に確認したところ、「公選法152条には、あいさつを目的とする有料広告の禁止が定められているが、新聞、雑誌、テレビ、ラジオの有料広告が対象であり、インターネットについては規定がなく、公選法に抵触しない」「選挙運動期間中(告示から投票前日まで)の場合は、142条にある頒布が許可された文書図画にインターネットは入っていないため、HPの更新そのものが禁止となる」といった解釈が返ってきた。
つまり、現状の法制度では、インターネットの有料広告において、選挙運動期間以外では政治家は何ら法に問われることなく宣伝できるということになる。
現在、吉田氏が利用しているグーグルの「スポンサーリンク」は、同じキーワードで表示されるHPが複数あった場合、課金する値段およびサイトの品質によって表示される順位が変わる仕組み。ちなみに、品質とは200以上の項目を自動的に判断され、検索キーワードがサイト内に表示されていないといった整合性のないものについては表示から外される。
ただし、公選法が改正され、インターネットも既存メディアと同列に扱われるようになれば、同様の行為は違法となる。現在の法整備の遅れを突いた、見事なネット戦略と言わざるを得ない。
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