<本業専念による確実な業績効果>
本業回帰の路線修正は早くも業績に現れてきている。取り扱い件数が急増しているのだ。業界が活況を呈しているのではない。アパマングループが市場のシェアを伸ばしているのである。不動産賃貸あっせん業の生命線はネットワークと情報力だ。賃貸情報探しはまさしくネットだ(携帯からも含む)。「アパマン」のHP検索は、「ヤフー」や「グーグル」を通さずにダイレクトで飛び込んでくる優位性を構築した。同業者の追随を許さない強力なネットパワーである。加えること、さらなるパワーアップの先手先手の策を打ちだしている。
まずは、入居者に対して、すでに所有しているクレジットカードで決済できるサービスを始めた。「アパマンショップ」ブランドのさらなる認知度向上のため、テレビCM放映に加えて「他社を圧倒的に引き離す反響獲得」をテーマに、FC加盟店への集客対策として全国統一キャンペーンを打ち出している。目先を変えるというか、時機を得た策も講じたのだ。地上デジタル放送対応のフルハイビジョン液晶テレビを設置する部屋を用意する「地デジ部屋あるあるキャンペーン」を実施した。何よりもライバルの先を駆けるのだ。
直営拠点は、東京と福岡である。まず、福岡で苦労して金を投入しお客集めの宣伝を打つ。かなりの時間、試行錯誤が必要となる。そこで集客ノウハウを積めば、東京で応用すると福岡の10倍以上の成果を弾きだせる。費用も少なくて済む。福岡が実験場、東京は刈り入れ場である(大阪など他地区でも直営店はある)。このような多彩な作戦が展開可能なのは、ネットワークを持っているからこそ成せる業だ。
<21世紀の挑戦とは孫さんに続くこと>
直営店、フランチャイズ店は全国に900近くある。このお客さんであるオーナーに表敬訪問する。その度に、今後の家主経営の深刻さを身に沁みて感じる。「入居者が退去する際の部屋の修復費用は、家主の負担が主流になっている。そうなれば、借家業の将来は厳しくなっていく」と大村社長は読む。3棟、4棟の家主では業が成り立たないのではないか!!
「だからこそ、我々がしっかりと勉強していかなければならない」と強調する。
最近の大村社長は行動が機敏で、社員たちにも厳しい指示命令を下している。「大村社長!!ソフトバンクの孫さんが会社をスタートさせて30年になります。新産業が生まれたと叫ばれますが、その担い手は孫さんしか見当たりませんね」と質問を投げかけてみた。「たしかにそうです。残念ながら、孫さんの前にも後にも孫さんしかいません。村上さん、堀江さんと素晴らしい若手経営者もいましたが、潰されました。経営には明確な社会貢献の理念がなければ、企業を永続できません。これは経営の師匠・稲盛和夫先生(京セラ創業者)の名言です。お2人にはこの点が足りなかったのではないでしょうか。それと、実需の市場で勝負しないと企業存続はおぼつかなくなります。この点も欠けていたのではないでしょうか」。
「孫さんの前にも後にも存在感のある人がいない。大村社長が後を継ぐべきですよ」と提言してみた。本人の顔を覗いてみたら、まんざらでもなさそうだ。6兆円の市場規模で15%のシェアを握れば、アパマングループは1兆円企業になる。この規模になれば、「孫さんの後を追う次世代の経営者」と自他ともに認められる存在となるだろう。そう難しい話でもない。大村社長の目標は、このラインに設定しているはずである。
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