<勝ち癖に酔う 全員参加プロジェクト策定>
「数字の公開」とセットになるのは「利益分配の公正」である。これは経営手法の大原則だ。この原則を早速実行した。6月に決算賞与を支給したのである。社員たちはボーナスの喜びを忘れていた。長年、ベースアップもなく給料削減の憂き目に合ってきた。もちろん、まともな賞与もなかった。言わば、負け犬根性が染みついてしまっていたのである。ボーナスを受けた社員が興奮して紫原社長に抱きついてきた。「社長!!常にたくさん利益を出しましょう。そして皆で賞与を分け合う喜びを増やしましょう」と叫んだ。
「そうだ!!この勝ち癖をずーっと持続していかないと、本当に強い組織には成長しない。人間というものは勝手なものだ。負けたら負けたで、愚痴ばかりを漏らす者になり下がってしまう。だから、社員全員が意気揚々とできるためには、常に好調な業績をあげる必要がある。そのためにはどうするか?中期計画大綱を作成して発表しよう」と紫原社長は心中で決めた。
まずは、今年2月に安全大会を開催した。その席で「さとうベネックを常勝の組織に造り変えましょうや!!そのために中期計画大綱を練り上げましょう。一番大切なのは、若手を巻き込むことです」と方針を表明した。この紫原社長の発表には、社員たちだけでなく取引先も「いよいよ、さとうベネックは本気で脱皮する覚悟でいるんだ」という認識を抱いた。6月期の決算前に脱皮の地殻変動は起きていたのである。
中期経営計画策定の作業は、若手を巻き込んで5月末まで土日出社で作業が進められた。若手は土日の出社を嫌がらず積極的に参加した。そして、若いながらの柔軟な発想で組織改革案を提出してくれた。6月23日に支店ごとの発表を行なった。この光景を目撃しつつ「若い人材が見違えるように成長したもんだ。目が輝いている。全員参加の中期経営計画策定の方針に誤りはなかった。これをもう一段と詳細に落とし込もう」と決断した。組織の永続革命の道に踏みだしたのである。
紫原社長のもとに、10名で構成される「プロジェクト推進委員会」を立ち上げた。この組織のもとに10の専門プロジェクトが組織された。一例が「コロンブスの床」プロジェクトである。チームリーダーは中堅管理職であるが、社員全員がどこかの部署に所属され、毎週議論に参加している。紫原社長は「全員が会社を俺が背負ってやるという意識で武装されたことは大成果だ。10プロジェクトがそれぞれに改革案を実行に踏みきっていけば、力強い組織になっていくだろう」と読んでいる。
<最終は経営権の買い取り>
ネクスト社が永遠に経営権を握っているわけではない。近々、さとうベネックの経営陣を中心にしたメンバーで資本の買い取りの事態が待ち構えている。紫原社長としても、またよその資本が会社を制圧するような局面にはさせたくない。阻止して、自分たちで株・資本を買い取る意向でいる。ネクスト社も、できるならば現経営陣に売却したい気持ちでいることだろう。さとうベネックの全員参加野球で株引き取りに成功することを願う。そうすれば、また面白いドラマが生まれ、レポートする機会が出てくるからだ。
COMPANY INFORMATION
(株)さとうベネック
所在地:大分市松原町3-4-16
設 立:1947年3月
資本金:1億円
TEL:097-573-0077
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