<市民をナメたらいかん!>
4日、名古屋市選挙管理委員会へ、46万5,385人の市議会リコール署名が提出された。多くの人が「不可能」と口を揃えた庶民革命を大きく前進させた瞬間である。
名古屋市で起きた今回のリコールは、市長と市議会の二元代表制だけではなく、リコール制度そのものの問題を提起した。人口に関わらず、市町村というくくりで活動期間を「1カ月」とする制約。にもかかわらず、人口に合わせて定められる必要署名数。結局のところ、市選管も20日間では精査ができないという実態も露呈した。
リコールに反対する市議会議員は、河村たかし市長を「大衆扇動」と批判した。しかしながら、署名活動に参加した市民ボランティアは、それぞれが深い見識を持ち、市長の選挙公約が議会によって否決された経緯に「NO」を突きつけたと言える。
ある市民ボランティアは語った。「河村さんにもいいところ、悪いところもある。だからこそ、我々市民がチェック&サポートをしなければならない」と。終盤になって署名した60代の男性は「ギリギリまで市長と市議会の意見を聞いて判断した」と語った。
結局のところ、市長と同じ"民意"で選ばれている議員が、その民意の質を否定するのは自己否定とも言え、民主主義そのものの否定につながるのではないか。
「市民をナメたらいかん!」と、河村市長は演説で語った。
市議会リコールの請求代表人のひとり船橋旭さんは、1カ月間の署名活動を振り返り、次のように語った。「市民の力がすごいということを感じた。後半、署名が30万を超えたあたりから、市民一人ひとりの『どうしても成功させたい』という熱意が寄せられるようになってきた。中区栄の署名受付会場では、1日の署名数が1,800から2,000も集まるようになった。それぞれが自分たちの力で世のなかを変えられると悟ったのだろう」。
ボランティアで署名活動の手伝いをした長野県松本市の市議会議員・吉江健太朗さんは、「名古屋が変われば日本中が変わると実感している。今回のお手伝いにとどまらず、地元・松本に庶民革命を持ち帰りたい」と、語った。
しかし、市民対市議会の戦いはこれが終わりではない。市選管のチェック後、署名が縦覧できるようになり、署名した本人であれば、それを取り下げることができるようになる。リコールに反対する勢力は、ハガキや訪問で署名の取り下げを求める活動をしているという。
その後も住民投票、解散になった場合も最終決着となる市議会議員選挙が控えている。その際は、河村市長は自らも辞職すると表明しており、市長選とのダブル選挙が名古屋市で行なわれる。「ナゴヤ庶民革命」が成功するまでの道のりは険しく、まさにこれからが正念場だ。
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